出版社内容情報
内容説明
最悪の事態に対応できるようになるため、最低限知っておくべき新常識。アクションとリアクションの逆説的論理、戦争の三位一体、シーパワー優位の継続、抑止破綻、大国の恐怖、三大戦略地域、攻撃の限界点、セオリーによるモデル化・ウォーゲームの重要性、OODAループなど今の世界を動かす論理がよくわかる、戦略論入門!
目次
プーチンが変えた世界秩序
ロシアがもたらす本当の脅威とは
日本に突きつけられた「現実の戦争」
トランプが進めた分断
内戦に向かうアメリカ
アメリカの大戦略
揺れる対中戦略
中国というリスクに対抗する
危機に乗じる中国「次の一手」
迫る台湾有事への備え
このままでは有事に対応できない
日本に足りないものは何か
予測される国論の分裂
戦略的思考で日本を変える
著者等紹介
奥山真司[オクヤママサシ]
戦略学・地政学者。戦略学博士(Ph.D.Strategic Studies)。多摩大学大学院客員教授。拓殖大学大学院非常勤講師など。国際地政学研究所上席研究員。戦略研究学会編集委員。日本クラウゼヴィッツ学会理事。1972年横浜市生まれ、カナダ・ブリティッシュ・コロンビア大学を卒業、英国レディング大学大学院で修士号と博士号を取得(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ta_chanko
16
分断の進むアメリカは内戦に突入する危険を抱えている。アメリカのアフガニスタン撤退は、逆に中国の中央アジアにおける治安悪化の問題を引き起こした。ウクライナ戦争もイスラエルのガザ侵攻も、米中対立によるアメリカの東アジア戦略強化の影響か?米中対立の発火点は台湾ではなく、韓国沖の小島「白翎島」から始まるかもしれない。さまざまな要因を分析し、あらゆる可能性を考えながら、日本の国家戦略を模索していく必要がある。2024/04/22
TS10
9
著者がネットメディア「SAKISIRU」に連載した近年の国際情勢に関する記事を編集した本。全体的に海外での議論の紹介に終始しているため、著者自身の意見はあまり出てこないが、著者の専門とする地政学については鋭い洞察が目立つ。ロシアによるウクライナ南部の黒海沿岸の占領が穀物輸出を阻害し、重大な地政学リスクをもたらしていること、アメリカのアフガニスタン撤退により中国が内陸の秩序維持により大きなコストを割くことを迫られること、韓国が領有する白翎島のリスク等、地政学的な視点から近年の国際情勢を概観することができた。2024/02/25
SGR
6
日本の安全保障について、周辺国の現状を分析しながら、解説されており、その上でなにが必要か、そして何を急ぐべきかが書かれており、勉強になりました。2025/04/12
バルジ
4
良書。専門的な語彙は多くなく平易な文章で国際ニュースを戦略論の立場から説く。時事に片寄りすぎずかついい塩梅で学術的な議論も差し込まているので初学者にとっては非常に有り難いであろう。本書のキーは「相手の存在」であろう。日本の安全保障論議において閑却されがちなこの基本的な概念を本書は随所に盛り込む。自らの行動が相手のリアクション受け更にその反応が起こる。このダイナミズムは当然ではあるが、どうも日本の安全保障論議では語られない。常に「日本」が主語である。本書はそのような自国本位の見方を一変してくれるであろう。2024/05/24
トロ05
4
世界情勢を覇権維持で見た場合、その脅威とならないテロはまず脇に置く。戦後アメリカが構築した世界秩序に挑戦しているのがロシア・中国・イランは、周辺諸国から崩そうとする。中国に対して日本を含むアジア諸国が連携すれば、中国の戦力を分散できる。また平和が次の戦争までの小康状態だとすると、日本も軍事力を備えなければならない。短期想定で始まった軍事衝突は、多々長期化する。またその時の自国民を救出する手立が日本にはない。拠ってイデオロギー抜きで日本は戦略を検討すべきだと危機を示していた。2024/04/27