出版社内容情報
「AI開発競争が従来の国家間競争を一変させる」(キッシンジャー)国家が「準AI」を駆使して権力闘争に励む今後30年間、未曾有の混乱と危機が訪れる。日本と自衛隊の決定的な遅れは、もう挽回できない!
内容説明
シンギュラリティまでの間、各国がAI開発で覇を競う今後30年の安全保障環境の激変を初めて描く。潜在敵国への世論操作、内政干渉、インフラ破壊・撹乱工作、大量破壊兵器の「ガレージキット化」によるテロ、兵器の無人化と自動化、スウォーム(大群)運用化…日本はどうすればよいのか。各国の状況も踏まえて冷静に論じる。
目次
第1章 人類を終わらせる「AIイリュージョン」の至福
第2章 電子戦
第3章 ドローンと情報戦
第4章 AIは対ミサイル・バリヤーになるのか?
第5章 海のAI
第6章 空のAI
第7章 陸のAI
第8章 これが無いなら陸自を海外派兵するな
著者等紹介
兵頭二十八[ヒョウドウニソハチ]
1960年長野市生まれ。陸上自衛隊北部方面隊に勤務の後、神奈川大学英語英文科卒(1988)、東京工業大学社会工学専攻修士(1990)、作家・評論家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Ryo
6
軍事的技術格差は、日を追うごとに致命的になりつつある。技術感度の高い軍隊は、見えない所から安全かつ正確に打撃を行えるようになりつつある。将来は機械によってロボコップ対一般人の様な殺戮劇が戦場で行われるようになるだろう。この本では、世界における戦闘の自動化を紹介しつつ、組織構造的に新しい物を受け入れられない自衛隊を嘆く。数十年欠陥品と言われる銃を更新せず、組織内理論が現実に勝る組織が国民を守れるのだろうか。技術・費用面で劣りながらも、戦略的に対策を建てる中露軍が羨ましい。日本はまた同じ敗北を繰り返すのか。2018/09/10
六点
5
さて、常に「日本は如何に?」と問い続ける著者の新著である。「AI」と言うものが戦場に革新を齎しうる存在であることは、理科系でも何でもないぬこ田にもよくわかった。ただ、我が国の官僚制ではなかなかこの国際競争に劣後する公算が高いと著者の熱に伝染するものがある。飛行場の設営能力に代表される技術的体力のどつき合いに敗北した大東亜戦争の愚を繰り返してはならぬと説く著者の熱に感染してしまうものがあった。まぁ読んで損はない本である。2018/04/16
ざっきー
4
「戦争論」というよりも、AIと兵器の考えられる運用方法といった内容。電子戦、陸海空さらには、日米、中露がAI技術をどれだけ活用しているかといった点にも言及していた。網羅的な内容の一冊。2020/03/13
備忘録
3
ミリタリー関連の知識はさっぱりで、ニュース等でそちら方面の話題になると付いていけず、これは不味いと思って購入。著者が元自衛官だけあって実戦を想定とした記述が多いです。大雑把にまとめると「兵器はどんどん自動化・無人化の方向に進みつつあり、その分野でも米軍は突出している」「中露は実力以上に力があるように見せかけているだけで、未だアメリカのリードは大きい」「日本は全く装備の刷新が進んでいない。理由は自衛隊内の権益争いと、国防に無関心かつ冷淡な世論のせい」といったところでしょうか。2019/05/11
かいのしずく
3
タイトルこそAIとありますが、あまりAI自体には踏み込んでいません。それよりも、昨今のソフトウェアによる戦いの自動化を紹介しつつ、将来の戦いの様相を著者なりの観点で検討し、説明することを主眼としています。そのなかで、我が国の装備調達事情を分析し、ちぐはぐな装備体系を批判しています。AI云々ではなく、陋習にとらわれて遅々として進まない我が国の防衛事情に対する嘆きと警鐘こそ、著者が最も伝えたかったことでしょうか。2018/06/10