出版社内容情報
なにも終っていない。いのちは今も、待っている。
内容説明
東北の寒い冬、食べ物のなくなった土地で命をつなぐ犬猫も、生きのこった家畜たちが迎えた悲しい運命も。福島第一原発20キロ圏内に「のこされた動物たち」の伝えられることのない1年の記録。
著者等紹介
太田康介[オオタヤススケ]
1958年9月23日生まれ。滋賀県出身。フォトグラファーアシスタントを経て、編集プロダクションにカメラマンとして入社。1991年よりフリーに。日本写真家協会(JPS)会員。報道カメラマンに憧れ、80年代後半から90年代はアフガニスタン、カンボジア、旧ユーゴスラビア連邦など紛争地帯を撮影。他にも北朝鮮、中国の中南海地区、台湾原発などに潜入取材をする経歴をもつ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しいたけ
114
カメラを見つめる動物たちの目。生きているからこそだけれど、その目を見れば尚更、生を終えてしまった動物の写真にもその目があったことを思い知らせてくれる。飼い主の祈りや懺悔も透けて見え、これはやはり地獄なのだと思う。口にしてもいいだろうか。つらすぎた。2018/03/12
ぶんこ
56
立ち入り禁止区域での動物保護ボランティアの苦闘の日々を、他の本で読んでいました。この本は写真が豊富で、しかも骨となった亡骸まであって、胸が詰まりました。何億という税金が政界・官庁一体となって無駄遣いされていたのが発覚したばかり。汚染地区に残された動物たちへの行政の非情さを知ると、その内の1/10でも保護費用にまわしてほしかった。「ああ、また政治のグロさにウンザリ」とニュースを遠ざけている自分を反省しました。2018/03/16
くるぶしふくらはぎ
32
写真集の最後に「あなたにも、できること」というページがある。その中に「知る、伝える」との言葉。他のことは、時間や物理的にハードルがあっても、これならすぐできる。多くの方が、この作品を手にとってくださることを願います。2015/05/23
鈴
29
「のこされた動物たち」のその後。震災から1年経っての話なので、前作よりも更に悲惨さが増している。動物の遺体写真も載っているので、苦手な方は覚悟の上で。これが同じ日本?同じ時代?あまりに凄すぎて、作り話を聞いているかのよう。だけど写真の動物たちの姿が、これは真実だと訴えかけている。動物が好きだといっても、無力な自分。2012/11/21
新田新一
23
福島第一原発の20キロ圏内に取り残された動物たちの姿を伝える本です。瘦せ細って痛々しい姿になった動物が多くて、読んでいると胸が詰まりました。10年以上前の本なので、現在の状態が非常に気になります。衰弱しきってへたり込んでいる牛の写真を見るのは、辛かったです。親戚で牛を飼っている人がいて、牛は馴染みの深い動物でした。こんな状態ではなく、堂々として生命力を感じる生き物です。ダチョウ園で買われていたダチョウが、廃墟となった町をさまよっている姿の写真もあります。なんともシュールな感じで、現実感がありませんでした。2024/07/15
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- 和書
- 菊花の仇討ち 文春文庫