内容説明
自伝小説を何度も書き換え更新していくことで自身を「仮構」として提示し続けた小説家・室生犀星。他者と自己、虚構と事実の間を往還するその特異な方法論をよみとく。
目次
室生犀星と自伝小説
“自己”=“虚構”を語ることに目覚める頃―『性に眼覚める頃』刊行まで
“官能描写”の物語―「海の散文詩」から「海の僧院」へ
“変態”を表象する“感覚”―「香爐を盗む」の方法
記憶を抑圧する“音”“声”―「心臓 退屈な孤独と幽霊に就いて」の感覚
女性心理との“交際”―「幾代の場合」論
“くろがねの扉”を開く室生犀星―“市井鬼”生成の場としての『鐵集』時代
完結した物語の弊害―“市井鬼もの”前史としての「あにいもうと」
“都会の底”に生きる少女たちの行方―「女の図」と連作小説
救済なき復讐、漂流する“市井鬼”―「龍宮の掏児」の試み
自伝小説の不可能性―純粋小説としての『弄獅子』
自伝小説の中の浅草―犀星文学の頂点
犀星文学における自己言及性―「蜜のあはれ」の方法
著者等紹介
能地克宜[ノウジカツノリ]
1975年、東京都生まれ。早稲田大学第二文学部文芸専修卒業。早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(学術)。私立中高国語科非常勤講師を経て、いわき明星大学教養学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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