内容説明
出会いと別れの文学誌。平安貴族たちの求婚・結婚・離婚の具体的な段取りや約束事とはどのようなものだったのか。物語や日記文学、和歌文学から、その男女関係・婚姻関係の生活誌的な様相と、言葉と物のやりとりが織りなす情感の世界を明らかにする。
目次
1 平安貴族の求婚事情(懸想文の「言ひ初め」;求婚相手宅での「居初め」;契りを交わす「見初め」)
2 男と女の情愛表現(男と女の後朝の儀式;男の持ち物・忘れ物;男と女が見入る鏡の影;移動する女の持ち物「櫛の箱」)
3 平安貴族の離婚告知(『落窪物語』の離婚事情;女が男に物を返す時;衣を残して去る女)
著者等紹介
倉田実[クラタミノル]
1950年栃木県生。明治大学大学院博士後期課程退学。博士(文学)。大妻女子大学文学部教授。『王朝摂関期の養女たち』(翰林書房、2004・11、紫式部学術賞受賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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もだんたいむす
4
古文には現代語訳が絶対必要だと思うので、時折提示される古文が読みにくくて難儀した。2024/03/31
Ayako Moroi
1
平安時代の貴族がどのように生活していたのか、その実態を探るという、研究手法の面でも多く学ばせてもらっている倉田先生の御著書。既に抜刷でいただいたものも含まれている。求婚や離婚がどのような手続きを経て成立するのか、後朝の場面ではどのようなふるまいをするのか、といったことが明らかになる。当時の櫛の箱や鏡についての考察も興味深い。また、引用和歌に現代語訳がつけられているのも特徴。現在我々が注釈作業をしている『弁乳母集』の和歌も引用されており、原稿は完成に近づいているのだが、注釈を少し見直す必要がありそうだ。2015/04/04
ソノダケン
0
小大君「ときおきし鞘の刀も錆びにけりさして久しきほどや経ぬらん」(あなたが私の家に置いていった太刀は錆びてしまいました。あれからさほど時は経っていないのに) 太刀を女のところに置きっぱなしにして、皮肉を歌に咏まれたりする、平安貴族のノンキさがボクはきらいじゃない。ただ佩用してる太刀が文官用か武官用かで、解釈はかわってくるとか。和歌って深いなあ。2014/12/11
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