内容説明
時にはしのぎを削り、時には手を取り合った江戸・豊島・大森・三浦ら中小武士団。文書や発掘成果、古戦場伝説などを再検証し、道潅が生きた時代と土地の記憶を追体験する。
目次
第1部 太田道潅と武蔵武士団(江戸氏一族の盛衰―道潅はなぜ江戸に入れたのか;豊島氏の戦いと城―道潅にあらがった名門一族;道潅を支えた武士団と反旗を翻す長尾景春)
第2部 太田道潅と相模武士団(矢野・小沢・溝呂木ら在地武士団の実態;伊勢宗瑞の侵攻と名族三浦氏の滅亡と伝承;西相模の雄・大森氏の盛衰と痕跡;道潅を殺害した上杉定正と糟谷館を検証する)
第3部 道潅以後も栄えた江戸湾の“湊”(流通の大動脈だった江戸内海と往来;湊を活用して富を集めた有力者たち)
著者等紹介
伊藤一美[イトウカズミ]
1948年、東京都生まれ。学習院大学大学院博士課程中途退学。現在、逗子市・藤沢市・葉山町文化財保護委員、NPO法人鎌倉考古学研究所理事、日本獣医史学会理事、日本城郭史学会理事などを務める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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翠埜もぐら
16
とにかく時系列がバラバラで、文章の主語がはっきりしないものもあって大変読みずらかったです。表題に「太田道灌と・・」とあった割に道灌そのものの記述が少なく、思いつくエピソードを並べていったような感じでした。豊島氏の記述が多かったのですが肝心の道灌とのかかわりが不明瞭で、「江古田の激戦」とやらで豊島氏と道灌の行動は推測しているのに結末がはっきり書かれていない。首塚や子孫の話に気を取られて「豊島氏滅亡」が忘れられた感じでした。読みずらいっていうより「がっかり感」が強い本でした。2024/06/30
roatsu
14
名将・太田道灌の生涯と事績を軸に、室町時代中盤以降の関東一円に続いた動乱の内情とその渦中で活動した多くの武士達の動向や思惑にも迫る一冊。ちょっと読みにくいけど、そういう話を知りたかった!という内容が多く面白い。江戸近辺に所領を有しその開拓に寄与した秩父平氏の江戸氏を始め、現代に残る地名に古来からの統治者の痕跡が驚くほど多く残っている事実を知ることは我が国の歴史の連続性を感じさせる嬉しい驚き。また江戸の地が戦国期以前から水上を中心とした交通の要衝で相当な賑わいもあった事実はやはり注目に値する。本書を携えまた2023/10/03
BIN
9
タイトル通りといえばそうだが、太田道灌というよりかは太田道灌に関連する地域に書かれた本です。初っ端から江戸の江戸氏のことから始まるので、太田道灌を期待して読むと面食らいします。それも地域単位なのか時系列もバラバラで非常に読みづらい。最初から地域史と思って読むとよいのでそうが、太田道灌を知っている前提の玄人向けの本だと思います。2025/03/31
さとまる
4
太田道潅その人というよりは、豊島氏や江戸氏、三浦氏など太田道潅と関係する一族に関する内容。2~4ページで構成される1項目ごとに完結する内容なので、項目ごとに読むのには便利かも知れないが、時系列的な流れがバラバラなので通しで読んでいると時代を行ったり来たりで混乱してしまう。2023/10/17
まつさや
3
太田道灌というよりは太田道灌と同じ時代に生きた武蔵や相模の武士や土地についてスポットを当てた本です。 あまり室町時代の武蔵国に着目したことがなかったので、こんなにたくさんの武士たちが誰につくか考えながらやっているとは思いもしませんでした。 自宅近くの神社が実は城だったことや、通りかかるお寺に古文書があってそこに当時のことがいろいろ書かれていることなどはじめて知ることばかりでした。2024/05/19