内容説明
攘夷か、開国か!?異国船の襲来という未曾有の国難を前に、全国各地で噴出する矛盾・軋轢・対立。激動の時代に対処しなければならなかった阿部正弘政権の検討を通じて、“幕末”という時代の特質に迫る!
目次
序章 幕末の動乱と阿部正弘
第1章 老中首座への道
第2章 政権の安定に向けて―弘化期
第3章 開国前夜の正弘政権―嘉永期
第4章 黒船来航―嘉永五・六年
第5章 条約締結と「臥薪嘗胆」―安政元年
第6章 開国への転換のために―安政二・三年
終章 正弘の死―安政四年
著者等紹介
後藤敦史[ゴトウアツシ]
1982年生まれ。現在、京都橘大学文学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
19
ペリー来航時の老中首座を務めた阿部正弘の評伝。「積極的な開国論者」「開明的な人物」といったイメージを退け、史料に基づきながらその生涯を追う。大名間の「衆議」を重んじ、開国派・攘夷派のバランスを保ちながら挙国一致の体制で難局を乗り切ろうとした苦闘が伺える。なにか凄いヴィジョンがあったわけではないが、多様な意見を包摂し、国論の分裂を防ごうとした彼の存在は、当時の政局において得難いものだったであろう。また彼の行った政策が、のちの幕府崩壊の遠因にもなったところも指摘している。要は江戸幕府版ペレストロイカだよね。2023/04/23
wuhujiang
3
現実主義でバランスを重視する阿部正弘の人物像がよくわかる一冊。これまでになく外国からの圧力にさらされる中で「衆議」を大切にする。有力大名との交信をしつつ、決して彼らのうち誰かの意見を丸のみにはしない。かといって決定的な破局も起こさない。自分の意見を少しずつ変えていく柔軟な姿勢は「大物」と評されるにふさわしいと思えた。彼の早逝後、何とかバランスを保てていた有力大名や幕閣の対立が表面化してしまう。彼がいたらその後もなんとかなったのか、有力者を取り込む彼の政治がそうさせたのかなんとも微妙なところだ。2022/12/10
人見知りな司書N
0
黒船来航に江戸は揺れたー。 幕府を支えたのは、時の老中 阿部正弘だった。 講武場や海軍伝習所の創設に加え、永井尚志や勝海舟などの多くの人材を登用した福山藩主の生涯はいかに? 後の大老 井伊直弼に比べると、知名度は一般的ではないが……彼がいなければ、幕末は大きく変わっていたかもしれない。2022/12/13