内容説明
後鳥羽院が率いる朝廷や院を取り巻く人物たち、鎌倉幕府の諸将や構造等を多面的に検討し、乱によって何が変わり、何が変わらなかったのかを明らかにする。
目次
序論 承久の乱の概要と評価
第1部 幕府の諸将と宇治川の合戦(承久の乱における三浦義村;承久の乱とそれ以後の北条時房;承久宇治川合戦の再評価)
第2部 後鳥羽院をめぐる人間関係(後鳥羽院と西園寺公経;後宮からみた後鳥羽王家の構造;後鳥羽院と承久京方の畿内武士)
第3部 さまざまな資料に描かれた承久の乱(慈光寺本『承久記』の史料的評価に関する一考察;『平安通志』と『承久軍物語』;『吾妻鏡』の歴史叙述における承久の乱)
著者等紹介
野口実[ノグチミノル]
1951年、千葉県生まれ。青山学院大学大学院文学研究科史学専攻博士課程修了。文学博士。鹿児島経済大学教授、京都女子大学宗教・文化研究所教授などを経て、京都女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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BIN
5
承久の乱に関する論考集。幕府側の人物や後鳥羽院側の人物、そして資料の評価が書かれてます。重要人物の割には全然覚えてなかった北条時房のことが勉強になりました。2024/09/24
ハル牧
4
2022年の大河ドラマが、三谷幸喜氏脚本による『鎌倉殿の13人』に決まった。本書に寄稿した研究者の中に、時代考証を担当される方がきっとおられるのだろうと勝手に思い込んでいる。言うまでもなくやはり本職の方々であり、例えば慈光寺本『承久記』などから幕府西上軍の内、東海道軍諸陣の第四陣、第五陣の大将軍を比定する作業は、及ばずがら近似する作業を卒論執筆の際に一件だけ、悪戦苦闘しながら行おうとした経験を有する者から見れば溜息しか出ないような作業であるのに、なんでもない作業であるかのように淡々と記載している。2020/04/21