内容説明
なぜ、頼朝は天下を取れたのか―。激動の治承・寿永内乱の中で、複雑にからみ合うそれぞれの思惑。平清盛や後白河院、東国武士団をはじめとする地域社会はどう動いたのか。鎌倉幕府草創の要因を丹念に分析し、頼朝の人物像をあぶりだす。
目次
頼朝の生涯をたどる
第1部 地域社会の動向―在地領主と合力システム(日和見な武士たち;内乱の推進主体)
第2部 中央権力の動向―清盛の野望とつまづき(平清盛の王権;治天君権力の失墜)
第3部 頼朝の登場―内乱における役割(頼朝の課題;内乱後体制の構築;将軍権力の創出)
頼朝と鎌倉幕府
著者等紹介
菱沼一憲[ヒシヌマカズノリ]
1966年福島市生まれ。現在、國學院大學栃木短期大学准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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だまし売りNo
36
「日本一の大天狗」を行家と義経とする。「頼朝は泰経の「行家・義経の謀叛は天魔の行いだ」との説明に対し、「自分も諸国も莫大な損害を受けたのだから、絶対に天狗そのものなのだ」という反論なので、天狗は行家と義経に宛てるのが自然であろう」(151頁)。「日本一の大天狗」が後白河院であることは当たり前のように感じていた。一方で行家と義経を大天狗とする説も納得感がある。表向きは行家と義経を批判しつつも、後白河院も批判するダブルミーニングということはないだろうか。 2023/01/01
Kiyoshi Utsugi
31
菱沼一憲の「源頼朝 鎌倉幕府草創への道」を読了しました。 以下の4部構成です。 ・地域社会の動向 在地領主と合力システム ・中央権力の動向 清盛の野望とつまづき ・頼朝の登場 内乱における役割 ・頼朝と鎌倉幕府 坂東という地域社会の動向、京の都の中央権力の動向(主に清盛を中心とした平氏)を受けて、頼朝が新たに創出した権力体(鎌倉幕府)を解説する流れになってます。 本の題名は「源頼朝」となってますが、特に源頼朝というよりは、武士社会にどのようにして移行していったのかがメインでした。2021/05/08
さとまる
9
頼朝の事績を通史的に解説するのでは無く、その政権の持つ意味を事績から考察していく内容。東国武家社会のもつ「合力」という安全保障システムや平家没官領の扱いについてなど興味深い。ただ、荘園に関する基礎的な知識がまだ不足しているので、その点内容を把握し切れてないところもあった。2023/01/27
MUNEKAZ
7
頼朝の評伝かと思いきやそれは序章であっさり終わらせて、彼の作り上げた権力について真正面から論じている一冊。内乱の基層をなした地縁や血縁で重層的に繋がった在地領主たちの争いから、武家政権の先駆けとなった平氏政権の幼帝を擁しての治天君権力の確立と挫折、そしてそれらとの角逐の中で手に入れた臨時の大権を平時の恒久的な権力とすべく行動する頼朝の姿が描かれている。そこから浮かび上がるのは冷徹な陰謀家というよりは、孤独な現実主義者という相貌であり、ストイックささえ感じさせるものがある。2018/03/21
オルレアンの聖たぬき
1
源頼朝について、というよりも『鎌倉殿』が誕生するまでの社会と『鎌倉殿』を生み出した御家人たちの社会についてという感じ。2022/05/15