内容説明
アマンダ・ハーディは、ある出来事から高校最後の年を新しい街で過ごすことになる。彼女にはある目的があった―できるだけ目立たず、人との関わりを避け、ただ日々をやり過ごす。卒業したら自分を知る者のいない場所に消える。すべては自分の人生を生きられる未来のため。ここは通過点にすぎない。それでも転校先での数々の出会いは、彼女の心の氷を溶かしてゆく。その先に見出したものとは―?こんな未来なんて想像もできなかった。そもそも未来なんて思い描けなかった―。トランス女性の作者による声や経験が主体性を持って読者に届けられる。ストーンウォール図書賞受賞はじめ大きな支持を集めたトランスガールの青春小説。
著者等紹介
ルッソ,メレディス[ルッソ,メレディス] [Russo,Meredith]
テネシー州チャタヌーガ出身。本作『理想の彼女だったなら』はストーンウォール図書賞ヤングアダルト部門を受賞したほか、ラムダ文学賞とウォルター・ディーン・マイヤーズ賞でファイナリストに選出されるなど大きな評価を得ている
佐々木楓[ササキカエデ]
クィアな文学や映画を研究。フェミニスト。トラウマやPTSD、発達障害の問題に関心がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぽけっとももんが
11
アンドリューだった過去を捨てて新しい生活を始めたアマンダ。友達もできて、気になる男の子とも徐々に距離を縮めていく。らんちき騒ぎのパーティやホームカミングなどいかにもアメリカの高校生、という感じで、アマンダには悪いけど彼女がどうこうではなくもううわーこういうの無理、と思ってしまった。昔はこういうの憧れてたような気もするけれども、今思うとわたしはここにいても全く楽しめないだろうな、と。アマンダを見守るというよりそっちの無理無理が強すぎたわー。そしてビーのこれからが気になる、敵を作りすぎでしょ。2025/04/06
かつみす
8
舞台はアメリカ南部。男性としての体を捨て、心と体 を一致させたアマンダは、過去の経歴を隠して心機一転、別の街で父と暮らし始める。新しい高校ではそれぞれの事情を抱えた女友達ができ、ボーイフレンドとの恋愛も進展。だが、あのいちばん秘密は、どうしても言い出せなかった…。友人関係が築かれていく過程がじっくりと描かれ、痛みと希望が混じり合うラストへと向かう。あくまでフィクションという断り書きを作者は添えているけれど、こんな物語を創らなければという切実さを感じた。若い世代を中心に広く読まれてほしい、心を揺さぶる物語。2024/11/24