出版社内容情報
アン・カーソン[アンカーソン]
著・文・その他
小磯洋光[コイソヒロミツ]
翻訳
内容説明
ノーベル文学賞最有力!古代ギリシアの詩人ステシコロスが描いた怪物ゲリュオンと英雄ヘラクレスの神話が、ロマンスとなって現代に甦る。詩と小説のハイブリッド形式“ヴァース・ノベル”で再創造された、アン・カーソンの代表作ついに邦訳。
著者等紹介
カーソン,アン[カーソン,アン] [Carson,Anne]
1950年、カナダのトロントに生まれる。トロント大学で古典学の博士号を取得したのち、北米の大学で教鞭をとる。1998年、『赤の自伝』が全米批評家協会賞候補になり、詩人として広く知られるようになる。現在までにT・S・エリオット賞やカナダ総督文学賞など数々の賞に輝き、英語圏を代表する詩人の一人として目されている。翻訳家としても活動し、サッフォーの詩やギリシア悲劇などを手がけている
小磯洋光[コイソヒロミツ]
1979年、東京生まれ。翻訳家・詩人。イースト・アングリア大学大学院で文芸翻訳と創作を学ぶ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヘラジカ
54
素人目にも凄まじく高度で新しいことを成し遂げているのが分かる。読中、どこかでこんなスタイルの作品を読んだことがあるような気がしていたが、解説で『ビリー・ザ・キッド全仕事 』が挙げられていて膝を打った。精神的に余裕がない時期に読んだので、読み流してしまった部分が多々あったのは残念だ。しかし、これは何度も読み返し、噛みしめて味わう一冊だろう。高名な作家が漸く日本でも紹介されたことを喜びたい。2022/10/08
hiroizm
29
ノーベル文学賞有力候補の作家作品と聞いて読書。ギリシャ古典文学伝説の作家ステシコロスの数少ない遺稿をベースに、ヘラクレスとゲリュリオンの神話を、現代の切ないBL青春ロマンスに置き換えた叙事詩的小説。ストーリーはやや断片的で、はっきりとした転結があるわけではないが不思議な余韻残る作品。作品の構成、行間に漂う雰囲気から何かを読み取る力が試される感あり。映像は綺麗だがセリフ少なめ、オチもぼやけたアートフィルムを観た感じ。これを好きそうな人が多いのはわかるが自分にはちと奥ゆかしすぎるかな。2023/09/01
すーぱーじゅげむ
16
これは……すごいです。詩であり、論文であり、神話であり、物語であり、散文であり……どうしても分類しなければならないなら詩になると思います。日本語の訳文しか分からないのですが、言葉やシーンの選び方が「ほんとうにこれしかない」という感じがします。彼しかできない方法で彼しか描けない世界に到達していると感じます。通読して「分からない・追いつけていない」部分も多いのですが、詩なのでどの部分も繰り返しの鑑賞に耐える強さがあり、しばらく鞄に入れていようと思います。ノーベル賞候補といわれるのが分かります。2023/01/21
おだまん
8
なんか凄いものを読んでしまった感。詩と小説の融合。最初読めるか不安と好奇心からギリシャ神話引っ張り出してしまった。ヘラクレスの英雄伝の陰にこんな物語があったとは。とても切ないロマンスでした。これは翻訳大賞取りそう。2023/02/24
kankoto
8
ひさびさに難易度の高い小説読んだ。たぶん八割くらい分かってないのでは。ギリシャの神話怪物ゲリュオンと英雄ヘラクレスの話を元に現代に二人を甦らせての話。 まず、序盤にその話と、その話を描いた古代ギリシャの詩人ステシコロスが出てくるのだけれど序盤で挫けそうになりました(笑) 本編?の「赤の自伝 ロマンス」はエミリ・ディキンスンの詩の引用、そしてゲリユオンと言う少年の話から始まる。母や兄との生活、そして今一冊のノートに「自伝」をつづり始める。そして彼が思春期に差し掛かった頃にヘラクレスと出会う。 2023/02/07