目次
1 ダイアナ忌(セブンティーンアイスクリーム前;赤い眼をして生きていて;温度計;手のひらの湿原;淋しくなる口 ほか)
2 生きなおす
3 前世のような記憶(さよなら平熱;雨と土;花粉航海;遮断機と鳥;青い胸 ほか)
著者等紹介
山崎聡子[ヤマザキサトコ]
1982年栃木県生まれ。早稲田大学在学中に作歌を始め、2010年「死と放埒なきみの目と」で第54回短歌研究新人賞受賞。2013年第1歌集『手のひらの花火』(短歌研究社)で第14回現代短歌新人賞受賞。pool、「未来」短歌会所属(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
276
山崎聡子の第2歌集。この人は第1歌集『手のひらの花火』で現代短歌新人賞を受賞し、続くこの歌集では塚本邦雄賞を得ている。はなばなしいスタートである。ただ、塚本邦雄のような華麗で難解な歌風というわけではない。ご本人は「私には短歌が実際のところなんなのか全然わからない」と語っている。あるいは、そのとまどいが歌に独特の生命を与えているのかもしれない。例えば、こんな歌「淋しさを水に例えていうことの、子供をもっていることの、舟」。そして、この歌人は現実との向き合い方もまた果敢なさを漂わせたりもする。2024/06/17
mi
4
淋しさを水に例えていうことの、子供をもっていることの、舟/あいしてて憎いよ君は笑うとき何かに耐える表情をする/クロールの腕の形をつくりつつ死ねって人に思われたこと/電子時計くらやみのなか光るけどあなたはあなたの夢をみなさい2021/11/05
あんず
2
最初に言うと、私はあとがきの「暗闇のなか娘が覚えたての英語であいらびゅーままとつぶやくのを聞くと、ここがひどく遠くて、淋しくて、くらくらする」というのに衝撃を受けたので、そこに戻ってくるよう読み返した。誰かから思いがけない愛情を当たり前のように返された時、内側へ引き寄せられることに戸惑いや覚束なさを覚え、それが淋しさとなるほど愛を受け止める感覚こそが遠いのかなと。水に関する歌が印象強いけど、端的に冷たいのではなくそれを体温とするような馴染み深さがあり、その膜を身に纏い人とは相容れない位置で漂っているよう→2023/03/11
hirom
2
ちょっとゾッとしつつ、お盆に読む歌集。塚本邦雄賞受賞作。自分の子どもに自分を重ねて今を詠んでいくスタイル。青い舌って見たことがある気がするけど、なんの動物だったか。牛の舌も丸ごとは少し青味がかってるな。静脈の色。どうでもいいけど舌って長いよね。2022/08/16
雲
2
言葉の端々に渦巻く〈恐怖〉と〈冷たさ〉。時が流れるにつれて、朝日がのぼっていく。読んでいて、ふと泣き出したくなってしまったときがあった。2021/11/17