目次
1 音楽に似て穏やかな飛行は(ひかりはスローモーションのように;グッド・ラック人類 ほか)
2 あるいは灯火する夜空(鋏;フェイスタオル ほか)
3 くじら彗星の住人~パレード編(巨大スクリーンにふたりの記憶とワルツと;補助記憶装置β ほか)
4 タイムトラベラー(永遠が晴れ渡る日に;手垢まみれの夕焼け ほか)
5 まばたきが平穏を保つ一つの方法だった(明るい独白;海の向こう風の休まる土地)
著者等紹介
久石ソナ[ヒサイシソナ]
1991年札幌市生まれ。2010年早稲田短歌会入会。2012年札幌へ戻り北海道大学短歌会の創設者のひとりになる。2015年第一詩集『航海する雪』上梓。2016年第50回北海道新聞文学賞受賞。2018年短歌研究新人賞候補作。2019年札幌・琴似に美容室「雨とランプ」をオープン。2021年歌壇賞次席。同人誌『ネヲ』主宰者、白いひぐま歌会主宰者のひとり(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
toron*
4
朝焼けに体を預けてゆくときのカーテンレールのにぎやかな声 遠のいてゆくのは故郷 指先に結露を長く長く集めて 国道に捨てたらいずれ粉々のライターだろう風を知るだろう 髭を剃り終えたらわかるひりひりと生き延びてゆく仕組みについて 好きな歌を上げる。三首目のライターの歌が個人的には一番好きかもしれない。四首目の歌も、作者は自分以外の髭を剃る立場であることを踏まえると、読みが広がりそうで面白い。 海、波音に喩える歌が多く、故郷の景色以上のものであるのかもしれない。これをキーワードにして再読してみたい。 2021/02/26
青色
3
「木漏れ日を英訳できずに見渡せば冬の匂いに都市は包まれ」「さよならだ 体が軽くなっていく月を横切る旅客機を追え」「雨の降る世界にひとつ感情を当てはめるならさよならにする」「飛行機はきみを連れ去ってゆくこれは短いエンドロールなんだ」特に好き2021/02/26
オールド・ボリシェビク
3
札幌在住の歌人の第一歌集。その饒舌でありながらも時に不器用なリズムを刻む歌を味わう。そして何より、その独自の美意識を知る。現代短歌の最前線にいるわけではない。けれども、紛れのない現代短歌である。わかるかな? 2021/02/26
no666kkk
2
こういう本は初めて読んだ。短歌といってもとっつきにくいものではなかった。お気に入りは「飲み残した酒を~」2021/09/17
すずちう
2
短歌定型というか韻律に対するスタンスはけっこう支持できる。2021/03/14