内容説明
とつぜん命を絶った妹の死の真相を探るうちに優しかった妹の心の闇に気づく姉。赤い毛糸玉に遺されたひそやかなメッセージ。苦く切ない少女へのレクイエム。
著者等紹介
金呂玲[キムリョリョン]
1971年、ソウル生まれ。ソウル芸術大学で文芸創作を学ぶ。『私の胸の中に海馬がいる』で文学ドンネ児童文学賞大賞を受賞し、『記憶を持ってきた子供』で馬海松文学賞を受賞。第1回創批青少年文学賞を受賞した『ワンドゥギ』は、ベストセラー(2008年)になり注目をあびる
金那〓[キムナヒョン]
釜山で生まれ海辺で育つ。西江大学にて政治外交と史学を専攻。上智大学に交換留学した際、日本の文化に接する。ITコンサルタント、銀行員、内部監査人等多様な職種を経て、韓国の文化を日本に伝える翻訳家の道に進む(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
400
韓国の現代文学。著者の金呂玲は児童文学、青少年文学の分野で成功を収めているようだ。本書は中学1年生のチョンジが死を選んだことに端を発して、姉のマンジ、いじめたとされるファヨン、同級生のミラ、チョンジの母親など、それぞれの葛藤を描く。会話文の意味や発話の意図が伝わらなかったり(訳文のせいではないかと思われる)するために、チョンジの死の意味も、周辺の者たちの感情の動きも理解が困難である。あるいは、そもそもチョンジの死は、その年代に特有の衝動的なものであり、彼にとってさえ十分な意味は持たなかったのかもしれない。2023/01/02
星落秋風五丈原
29
韓国の小説『ピンポン』でも扱われていたが、韓国でもいじめは深刻なようだ。本編の中心となるのも、いじめにより自殺を図ったと思われているチョンジだ。2017/08/02
かもめ通信
21
その日、少女は自ら命を絶った。真面目な優しい子だった。素直ないい子だった。なのになぜ?どうして? 遺された母や姉は自問せずにはいられない。なぜなら問うべき相手はもういないのだから。真相を知りたいと動き出した姉は妹が陰湿ないじめにあっていたことを知る。「空気清浄機はあるのに、なぜ心の清浄機はないんだろう?」自分のものでも他人のものでも心の内をのぞき込むのはとてもしんどい。それでもやはり、どうしても向き合わざるをえない時がある。書評サイト本が好き!を通じていただいた韓国の人気小説。2017/08/21
タカラ~ム
9
「明日を迎えるはずだったチョンジが、今日、死んだ」この一文から始まる物語は、ひとりの少女の自殺を引き金に家族や友人の関係性や人間性を問いかける。ずっと近くにいたのに少女の心の闇に気づけなかった母と姉。彼女をいじめていたことに苦悩し崩れていくクラスメイト。少女の自殺は様々に周囲の人々に影響を与えていく。そして、彼女が自らの命に込めた思いが深く胸を抉る。重く、深く、心に残る作品。2017/08/16
ミネチュ
6
いじめの話でした。 いじめで自殺した女子中学生。 残された母と姉の苦悩や、自殺の原因を描いた小説。 ただ、イマイチよくわからない話でした。 訳(日本語)の問題なのか原文の問題なのかわかりませんが、シチュエーションが理解できなかったり、場面が変わったのに気づかなかったり、会話が誰の発言なのかわからなかったり・・・ そんなに理解の難しい文章だったにもかかわらずいい小説でした。2020/01/11