内容説明
極楽市場に集うのは、人と花と笑う犬…ポルトガルの小さな漁師町で季節ごとに降ってきた愛しく切なく、かけがえのない日々。閉じたはずの小函からあふれでる夢のようにすぎた「青目海」の20年。
目次
春(春の極楽市場;南ポルトガルの日本食 ほか)
夏(漁師町の天国と地獄;マフィアの秘密の花園 ほか)
秋(女たちのバカンス;秋のお楽しみ ほか)
冬(踊る子豚;金持ちすぎた男 ほか)
著者等紹介
青目海[アオメウミ]
脚本家・ライター。東京生まれ。劇団「天井桟敷」の創立メンバー。19歳で「スター千一夜」で構成作家デビュー。以後、テレビドラマの原作、脚本を手がける。パリ、ローマに始まり、結婚後は、カナダ、ニューヨーク、メキシコ、モロッコ、スペインなど、海外生活は30数年にわたり、南ポルトガルの小さな漁師町オリャオに20年暮らす。2015年に帰国(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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どんぐり
69
イベリア半島の南の端にある漁師町オリャオで、40代後半から20年間過ごした著者の春・夏・秋・冬のポルトガル便り。漁師をする日本人の夫と二人暮らし、地元民との出会いや出来事などを生活雑記風に綴る。海にふりそそぐ太陽の光、パテオに集まる外国人、漁師町のバーやカフェ、犬や猫などのエピソードとふんだんに載った写真から、青目海が描くポルトガルは読み手を飽きさせない。旅行者気分になって、もう少しこの人の本を読んでみよう。2019/11/28
seacalf
38
これはすごくいい。エッセイなのに極上の小説のようだった。気取らない語り口は、それだけで癒し効果満点というか、気持ち良く心を鎮めてくれるというか。ポルトガルの田舎街へすんなりといざなってくれる。とりわけ観光地ではない花々が咲き乱れる漁師町での20年間は良いことばかりじゃなかったけれど、沢山の貴重でいとおしい出来事として綴られている。様々な国の親友達との交友関係が特に素敵。文章と構成が非常に読みやすくていい。そして、ふんだんに盛り込まれた写真のひとつひとつが素晴らしいこと。憧憬の気持ちを強くさせる。おすすめ。2018/02/02
DEE
10
南ポルトガルのアルガルベ地方。そこで20年暮らした筆者の当時の生活の様子が活き活きと書かれている。 日本人ということで色々とご苦労もあったようだけど、過ぎてしまえばそれもまた大切な思い出。 この地方のサグレスは「深夜特急」で沢木耕太郎が旅を終える決意をした場所。 自分も行きたかったのだけど日程の都合で諦めるしかなかった。 とても魅力的な漁師町、いつか行けるといいな。2019/07/01
su-zu
6
素敵なエッセイです。タイトルにはポルトガルとありますが、これはオリャオ物語。言葉も通じぬ異国で根をおろした著者の、切ない回想録です。あとがきにもあるように、遊びの舞台であったオリャオの20年間を、思い返し味わい直す著者に、寄り添うように読みたい。おいしそうな食事や、個性豊かな友人たちとの交流は、どれも味わい深い。咲き誇る野趣あふれる花々の思い出の文や写真からは、その時代への著者の溢れる思いが、豊かに薫ります。2017/11/05
荏苒 byn
1
前世紀末以来の葡国最南端の暮らしの思い出を四季に分けて描くエセー。だが、著者(夫妻)は3年位前から伊豆らしく、過去形。滞在20年間の何時とは知れぬ回想の断片。Olhao辺の欧州人との交際、葡国人と葡語は付合いが薄いらしい不可思議な日常。短編小説のような味わい数篇。一瞬の旅行とは違う生活感は漂う。実用情報は、特段入って無い。2018/02/08