感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぽん教授(非実在系)
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ウォルター・リップマン『幻の公衆』の問題意識を共有しながらも、大衆の問題解決能力への疑問から悲観的消極的にエリート主義を採用しなければならないと主張するリップマンに対して、コミュニケーションによって形成されるコミュニティでの経験学習として意見を言い合う熟議を持ち出すデューイは大衆に対してやや楽観的である。市場と国家とは違う場所に公共空間を見出すハーバーマスや、私的空間の外に公共空間を見出すアレントとはまた違った公共論であり、トクヴィルやパットナムなどと親和的であるが、まだデューイは甘い。そこが弱点である。2015/06/28