内容説明
狂気を沈めたリベラル。戦後思想の巨人を縦横に語る―福岡ユネスコ・トークライブ。
目次
行動する人・鶴見俊輔(原発反対デモで思い出すこと;核にまつわる記憶;「昼の時間」と「夜の時間」;ハンセン病と関わる ほか)
書く人・鶴見俊輔(二つの光源から;ホムンクルスとしての「書く人」;最初の出会い;狂気を沈めたリベラル ほか)
対談 鶴見俊輔を語る
著者等紹介
黒川創[クロカワソウ]
1961年京都府生まれ。作家
加藤典洋[カトウノリヒロ]
1948年山形県生まれ。文芸評論家、早稲田大学国際教養学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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fonfon
10
福岡ユネスコ協会主催の講演会「考える人 鶴見俊輔」の記録化である薄いブックレットですが、非常に充実していて、鶴見俊輔とは何者なのか、が目配りよく解る仕掛けになっています。私にとっての新しい発見は、「退行計画」に関連して紹介された、橋本峰雄による鶴見俊輔の「宗教性」への言及。「鶴見の仕事は一見クリアであるものをクリアでないところに引き下し、解体することであった」「退行し、退行し、退行する。その果ての『死とのとりまぜ』。「退行計画に現れている宗教性とは、死者らしい寛大さで、物事を幾重にも誤解すること」2013/04/23
Bartleby
3
鶴見さんの文章でも「かるた」から「退行計画」までの一連の作品が特に好きで、でもそれがなぜなのかよく説明できないでいた。お二人の説明のおかげで、そうした「夜の時間」の思想に惹かれる理由が少し理解できた気がする。そしてそれが分かった分だけ、その思想をうちに抱えながらも「昼の時間」には人々の前に出続けた鶴見さんの凄さを改めて感じることもできた。2013/10/27