内容説明
1942年の写真部門創設から、最新2015年の受賞写真までを収録。
目次
第1期 大判カメラと初期のピュリツァー賞受賞作品
第2期 カメラの小型化、ベトナム戦争と公民権運動
第3期 新たな賞、特集写真部門の創設
第4期 カラー写真、デジタル化、女性写真家、アフリカ
第5期 デジタル革命
第6期 フォトジャーナリズムに迫る新たな脅威
著者等紹介
ビュエル,ハル[ビュエル,ハル] [Buell,Hal]
元AP通信写真部門責任者。シカゴで育つ。ノースウェスト大学でジャーナリズムを専攻、星条旗新聞社のカメラマンをへて1956年にAP通信社入社。在職中は35カ国を訪れ、20世紀後半の多くの世界的事件の写真報道にかかわった。写真および写真報道倫理について、広く講演をおこなっている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
100
報道写真の最高峰のピュリツァー賞写真集。報道写真というのは見る人の感情や記憶、見たときの環境にも紗友されるという、この本に紹介されているのは近年の紛争や戦争、銃の問題に関わるものが多い。どれも胸を痛める写真。しかしこういった写真が人や国家の力を動かすこともある。写真はキャプションがついているがそれらを読まずに写真だけを見たという読書に当てはまらない読みかたとなった。図書館本2023/01/14
キク
76
報道写真最高峰のピュリツァー賞。受賞写真が古いものから、解説文と写真で紹介されている。「近代において、人類は何をしてきたのか」ということを追体験する構成。簡単に想像がつくだろうけど、笑顔になる写真よりも、思わず目をそむけたくなるTVでは絶対に映せない写真が多い。僕は基本的に文章の人間で、写真等のビジュアル的なものへの素養が全然ない。でもこの写真たちは、たった一枚ですごく多くのことを僕に訴えてくる。愛と憎悪、希望と絶望、平和と戦争、生と死。すごくきつかったけど、この写真たちに目をつぶっちゃダメだと読み通した2023/01/24
あじ
58
写真を世に発表したことで、カメラマンや被写体の運命を大きく変えてしまう事がある。賞賛と非難の渦中に身を投じるフォトジャーナリストの、プライドと苦悩を写真を通して見た。今や誰もがカメラを携帯する時代。カメラを構える人々皆が、フォトジャーナリストかといえばそれは違う。私たちには真実を伝えようとする気骨がなく、結果責任を伴わないからだ。エネルギー爆発の瞬間、ファインダーを通し覚悟を決めなければならない。歴史を記録するとは、全責任の上にあること。本物のフォトジャーナリストを、魂の伝道師と呼びたい。2015/12/21
zero1
35
世界を切り取る写真家たちの勲章がここにある。戦争、差別、事故。硫黄島の星条旗はアーリントンの記念碑で有名。51年の黒人選手に対する悪質タックルは、日大の事件を思い出した。報道写真は多くが掲載するか否かで議論となる。80年の「ホメイニからのメッセージ」は報復を恐れて撮影者が匿名に。94年の「ハゲワシと少女」は激しく批判され撮影者が自殺した。この件は英語の教科書で紹介された。災害での救出劇もあり、人の悪魔と天使の両面が紹介されている。読メで97件しか登録がないのは残念。多くの人に読んでほしい。図書館で探して!2019/01/28
霜月
24
見過ごされてしまう出来事、知られることのない情景、分かち合う喜び、現場に居合わせることなくその瞬間が確かにあった事を一枚の写真から私達は知ることが出来る。時代が移り変わり、写真の持つ特性や意味合いも少しずつ変化しながらだけれどその一枚を通してファインダーの向こう側とこちら側が繋がる瞬間。そこに込められたものが感じられるような生々しくも静謐で神聖な空気さえ纏わせて。時に絶句し、時に涙を流し胸に刻む。命をかけて世界に届けるためにシャッターを切るその魂を確かに見た。2016/02/24