内容説明
ある日、中学生の柚香はデパートの片隅でひっそりと営業する骨董屋を見つけた。眼球にまつわる品ばかりが集められたその店の名は「眼球堂」。柚香は店主から「この店の骨董はどれもみな物語を持っている。君が物語を読み取れたなら、その対価として私は君に健やかな眼球をあげよう」と持ちかけられた。店主の取引きに応じた柚香はまず、平凡な古い人形を手に取るが…。
著者等紹介
小林栗奈[コバヤシクリナ]
1971年生まれ。2015年、第25回「ゆきのまち幻想文学賞」長編賞受賞。2016年『利き蜜師』で第三回「暮らしの小説大賞」出版社特別賞を受賞し、『利き蜜師物語 銀蜂の目覚め』(産業編集センター)として刊行(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ままこ
86
柚香が偶然扉を開いた先にあった骨董屋 眼球堂。ここは眼球をモチーフにした物だけを取り扱う摩訶不思議な店。柚香はそこで自分の欲しいものと引き換えに骨董品が持つ失われた物語を読み取り店主に話すことになるが…。骨董品が持つ物語は皆奇妙で物哀しく美しい。設定は面白いのだが慌ただしい終わり方で消化不良気味。2019/06/28
buchipanda3
71
不思議な雰囲気が漂う骨董屋で語られる幻想めいた物語、それも眼球に纏わる物語ばかりの連作集。それぞれの話の舞台は中世の王国や平安時代のような所、さらには火星までと多彩、どれもが不思議な力を持つ眼球がカギとなる。主題の物珍しさが(ちょっと不気味さも)あるし、話の内容も心をざわつかせたり、儚さを感じさせたりと読み物としての面白味を感じさせる。軸となるストーリーの失明の不安を抱えた主人公・柚香と眼球堂の店主とのやり取りはどこか温かみを感じさせるものだった。これだけ目の話を読むと気のせいかな目のあたりがムズムズと。2019/06/30
ミーママ
49
図書館の本📚 初めての作家さん。なにげに手に取った本。 不思議な感覚! でも、とっても面白かった❗ 2019-842019/11/14
ぽろん
36
眼球堂。どう考えたら、この様な発想が浮かぶんだろう。最初は、そんな想いに捉われながらも、読み進むと、やはり暖かいファンタジーだった。リラと骨董屋の続きの話、あると良いなあ。2019/06/22
うまる
30
眼球×ファンタジー。眼球にまつわる品が置かれている時空の狭間の骨董屋の話。1話目の途中からいきなりSFになったのでビックリしましたが、主人公が骨董の話を読み解くという作中作の構成でした。語られる物語は時代もジャンルも様々で、膨らませたら長編になる様なネタが惜しげもなく挿入されていて面白かったです。フワフワしたファンタジーというより、ディストピア系、抑圧系の話が多く、それが現実世界で眼の病気のため鬱屈している主人公の話とリンクしていく感じが良くできていました。次巻も楽しみです♪2021/02/26