内容説明
明治45年1月、一人の少年が故郷・天草から船でベトナムへ旅立った。その6年前、ベトナム王朝末裔の青年が故郷を脱出し、日本へ密航する。二人はやがて一つの目的のため、海を挟んだ異国の地で起ち上がる。ベトナム独立という見果てぬ夢をめざして―。戦争と革命、夢と挫折―百年にわたる日越交流の秘史。
目次
「兄弟同士の戦争はやめること」
隠れキリシタンの里・大江
植民地・仏印
大南公司と大川塾
「東遊(ドンズー)運動」と王子クオン・デ
クオン・デ、漂泊の日々
日中戦争と日本の南進政策
北部仏印進駐とベトナム復国同盟会
開戦と松下光廣のサイゴン復帰
明号作戦とベトナム独立
日本敗戦とホー・チ・ミンのベトナム
「ベトナム現代史」の激流の渦中で
南十字星きらめく下で
著者等紹介
牧久[マキヒサシ]
ジャーナリスト。1941年、大分県生れ。64年、早稲田大学第一政治経済学部政治学科卒業。同年、日本経済新聞社に入社。東京本社編集局社会部に配属。サイゴン・シンガポール特派員。名古屋支社報道部次長、東京本社社会部次長を経て、89年、東京・社会部長。その後、人事局長、取締役総務局長、常務労務・総務・製作担当。専務取締役、代表取締役副社長を経て2005年、テレビ大阪会長。現在、日本経済新聞社客員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あまたあるほし
3
松下光廣とベトナム独立運動のかかわりはよくわかった。ただ、必要とはいえ中盤の松下がほとんどでてこないベトナム政治史の部分はどうにかならなかったのかと思う。その部分を削ってでも、日本政界とのかかわりについてもう少し多く記述してほしかった。彼が里見甫ではなく、児玉誉士夫に近かったきがしないわけでもない。おすすめ関連書籍。森達也『ベトナムのラストエンペラー』、中島岳志『中村屋のボース』。2012/06/05
白城
2
実在した方の記録だと思い頑張って読了しました。かなりてこずった本になりました。明治、大正、昭和にわたって日本とベトナムに関わった人間達が多く登場し、少し右側の感じもあり、普段目にしない内容で、理解が覚束ないところもあったが、読んでみて良かった。2025/03/27
Coochie Bill Game
2
やっと読了... 仕事も忙しく(明日からベトナム出張)時間がかかったが、本としても時系列もあっちこっちに行って読みにくい。しかしその無秩序感・混沌感がベトナムそして日越関係なんだろうと思う。 それにしても、p71 の記述は驚いたが、日本は鎖国前日本人女性が多数娼婦として東南アジアに働きに行っていたとのこと。カラユキさんと呼ばれていたそうだ。それも天草出身者が多く、それはカトリック信者が多くバースコントロールがなされなかったから人口が増えてしまったからだという。明治に入ってまた天草出身の女性が多くカラユキさ2017/10/08
Jun Masuno
1
悲劇の王子、クオン・デとそれを支援した松下光廣の足跡をおったルポルタージュ ベトナムの独立を夢み、共に獅子奮迅の活躍を行ったが、時代の荒波に左右され 全く知らなかったことを学ぶことが出来ました2020/06/21
じろう
1
本筋とは関係ないが長勇(やっぱり意気がってるけど官僚だ。)や小松清(マルローとも交流があり国際人、今いるかなあこんな人。)が登場してきてベトナムでの活動が面白かった。天草の背景や独裁者ゴージンジェムの評価など興味深いエピソードが多かった。2017/08/10