内容説明
永井荷風は晩年、千葉県市川市に居を移した。戦後まもなくの頃で、周囲にはのどかな田園風景が広がっていた。市川で育った著者は、荷風の日記に記された記述をたどりながら、幼少期の回想を綴る。昼下りの銭湯で見かけた荷風の二の腕に彫られた「こう命」の刺青にまつわる秘話。そして、「昭和」という時代のかけがえのない記憶が懐かしく、ときに哀切に紙面から立ちのぼる。
目次
第1部 荷風のいた街(菅野;露伴;バレエと兵服;食パン;駄菓子屋;転落;繁華街;川面の夕陽;遺跡見学;真間川;弁慶;祭りと盆踊り;出会い;刺青)
第2部 荷風散策(考証・荷風の刺青;“荷風の市川”読み歩き;散策する人・荷風)
著者等紹介
橋本敏男[ハシモトトシオ]
1937年東京生まれ。62年読売新聞社に入社、主に婦人部(現・生活情報部)で教育・子どもに関する問題を担当。97年定年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おとん707
4
永井荷風が戦後すぐに住居を移し生涯住んだ京成線の駅で言えば八幡、菅野、市川真間とJR(当時は省線)市川駅周辺を同じ地で同じころ少年時代を過ごした筆者が荷風の足跡を訪ねたもの。私も出身こそ東京の西側だが社会人になってからは江戸川の東に住み続けているので、この地域の雑然とした中にも風格を感じさせる街並みに親しみを感じる。2009年の発行なのでその後だいぶ変わってしまったが、コロナ禍が去ったらまたゆっくりと散策してみたい。「見慣れた景色を通じて、そのあるべき美しい姿を見ましょう。」という著者の言葉に惹かれる。2020/05/15
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