内容説明
古代ギリシア語原典によるイソップ研究を基盤として、近世のヨーロッパや日本におけるイソップ集の展開を幅広い視野で考究した画期的業績。第1部では、イソップの名のもとに様々な話が集められる経緯を、アリストファネスやプラトン、アリストテレスなどの論述から分析。第2部では、西洋中世の写本による読み替えや、近世の印刷本に関する議論など、時代の変遷に伴う話の変化と背景への影響を明らかにする。更に英国の事例を参照した上で、近代日本における受容と展開を論じ、明治初期の英語からの訳出と修身教育への導入、当時評判を呼んだ渡部温訳『通俗伊蘇普物語』を具体的に検討する。
目次
「イソップ|寓話」を切断する
第1部 形成―古代イソップ論(古代ギリシア・アルカイック期―ヘシオドスとアルキロコス;古代ギリシア・古典期―アリストファネスとプラトン;古代ギリシアからローマへ―アリストテレスとその影響;ローマ帝政期―修辞学教育とその周辺;古代のイソップ集―ファエドルスとバブリオス)
第2部 展開―西洋から近代日本へ(アトス写本とイソップ受容―バブリオス集の受容と変質;1505年刊行アルドゥス本のラテン語翻訳;19世紀英国の翻訳イソップ集―「蛙と牛」における母蛙の怒り;「犬とその影」にみる近代日本イソップ受容;近代日本のイソップ受容と初等教育)
その後の展開から―接続する「イソップ|寓話」
著者等紹介
吉川斉[ヨシカワヒトシ]
1980年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科欧米系文化研究専攻(西洋古典学専門分野)博士課程修了。博士(文学)。現在、東京大学大学院人文社会系研究科次世代人文学開発センター特任研究員。専門は、西洋古典学、古典受容(史)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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