内容説明
セアラ・フィールディング(1710‐68)は英文学史上で著名ではないが、ヘンリー・フィールディングの妹として18世紀中葉に活動した女性作家である。彼女は文学的に野心的な試みに挑んだ。読者の動向を敏感に捉えながらも大衆に迎合しない決意をもって、次々と新たな手法やテーマ、新しい読者に向けた作品を繰り出していったのだ。本書は、書簡体文学や学校物語、古典の翻訳など著作者と読者の関係を模索しつつ、新しい文学・読書空間に向き合った彼女の文学的営為の軌跡を辿ることにより、18世紀の作家たちの広範な関心をあぶり出した意欲的作品である。
目次
第1章 生涯―活気に満ちた一八世紀を一人の女性作家がどのように生きたのか(セアラ・フィールディングとは?;ヘンリーの妹;文筆活動;バースの安全網)
第2章 読者との関係の構築―著者を読者に知ってもらいたい(「読書の真の活用法」;読者たちの反応;言葉の乱用者たち;読書の方法)
第3章 気心知れた仲間の交流―手紙(手紙;セアラ・フィールディングの手紙;フィクションのなかの手紙;相互理解と理想の世界)
第4章 学校物語―同朋を育てる(子どもをターゲットに;女子アカデミー;ソシアビリティと友情;教育書著者の姿勢;もうひとつの『ガヴァネス』)
第5章 古典―自己陶冶(目のつけどころ;大成功か?;学識ある女性;カーターの戦略と成功;セアラ・フィールディングの翻訳)
著者等紹介
鈴木実佳[スズキミカ]
1962年生、東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学、Ph.D.(ロンドン大学)、静岡大学人文学部助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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ケイ