出版社内容情報
「都市集中」は人類の必然なのか?
「このままでは歴史ある自然豊かな土地が打ち捨てられ、都市にしか住めない時代がやってくる……」
突如、著者を襲った直感は、専門を越えた仲間との7年にわたる膨大な検討を経て、壮大なビジョンと化した。
自然(森)、インフラ、エネルギー、ヘルスケア、教育、食と農……これらをゼロベースで問い直したときに見えてきた、オルタナティブな世界とは。
数十年では到底終わらない運動のはじまりを告げる圧巻の一冊。
『イシューからはじめよ』の著者が
人生をかけて挑む
解くべき課題〈イシュー〉。
▼「風の谷」とは?
あらゆる地域における都市集中の結果として、長い間人が住んできた場所の多くが棄てられつつあります。このままでは、そう遠くない未来に映画『ブレードランナー』が描いたように極端に人口の集中したメガシティにしか人が暮らせなくなる──そんなある種のディストピア的な世界の到来が避けられないのではないか。
そうした問題意識がこの運動の原点にあります。
疎空間がエコノミクス的にも求心力的にも成り立たないシステム的な課題を探り、様々な知恵を用いてオルタナティブを提示する。そうすることで、人間と自然と共に豊かに生きうる世界を実現できるのではないか。
その一つのビジョンを、私たちは宮崎駿氏の『風の谷のナウシカ』に登場する舞台にインスパイアされ「風の谷」と呼んでいます。ただ決して都会を「腐海」としてみなしているわけでも、ナウシカと完全に同じような世界を作りたいわけでもありません。
私たちが目指しているのは、都市しかない未来に対するオルタナティブづくりとして、圧倒的な空間価値を持ち、都市にも負けない魅力と知的な生産性を持つ、そういう空間を生み出すことです。
※一般社団法人 残すに値する未来(風の谷の推進母体)のHPから一部抜粋
【目次】
プロローグ
はじめに
■第I部 風の谷とは何か
第1章 問題意識と構想
第2章 人類の2大課題
第3章 マインドセットとアプローチ
■第II部 解くべき4つの課題
第4章 エコノミクス
第5章 レジリエンス
第6章 求心力と三絶
第7章 文化・価値創造
■第III部 谷をつくる7つの領域
第8章 人間と自然を調和させる――森、流域、田園
第9章 空間構造の基盤:インフラ――道、水、ごみ
第10章 人間の活動を支えるエネルギー
第11章 ヘルスケア――肉体的・精神的・社会的健康
第12章 谷をつくる人をつくる
第13章 食と農――育てる、加工する、食べる
■第IV部 実現に向けて
第14章 谷の空間をデザインする
第15章 風の谷という系を育む
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