内容説明
原作と翻訳を分かち、同時に結びつけるもの、その多様な差異によって、翻訳批評は新たな関係をたちあげるのである。新たな意義を展開する翻訳論の登場。
目次
第1章 「別の言葉で言えば」―文学作品の翻訳がもたらしてくれるもの(「一つ」の言葉と多くの言葉;言葉のサーファーと意味のダイバー ほか)
第2章 磨きのかけられていないぼやけた鏡に映った夜の作品―仏語諸訳に暗く映し出されたE.T.A.・ホフマンの『砂男』(暗いテクストと明るい解釈者たち;フランス風の衣装をまとった『砂男』 ほか)
第3章 多重化する『エフィ・ブリースト』、あるいは、「文化」はいかに翻訳可能か?(文化抗争の広野に立つフォンターネの『エフィ・ブリースト』;『エフィ・ブリースト』の仏訳と英訳―同化による取りこみから、文献学に基づいた他者化へ ほか)
第4章 仏語翻訳プロセスのなかのカフカ『訴訟』(「書かれてある言葉の響き」においてカフカを読む;他なるテクストにおける、他なる身体性 ほか)
第5章 取り違えようのない兄妹となって。―ローベルト・ムージルの『特性のない男』とその英訳、仏訳(他なる「意味」におけるムージルの小説;「語に置き換える」か、「言葉に言い表す」か―『特性のない男』の英訳と仏訳 ほか)
著者等紹介
ウッツ,ペーター[ウッツ,ペーター][Utz,Peter]
1954年生まれ。ローザンヌ大学文学部教授。専門はドイツ近現代文学。翻訳論
新本史斉[ニイモトフミナリ]
1964年広島生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。現在、津田塾大学国際関係学科教授。専門はドイツ語文学、翻訳論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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