内容説明
本書は『トーニオ・クレーガー』を軸に、トーマス・マンの初期のすべての短編小説を読み、それに若い彼の生を絡み合わせ、「トーマス・マンの青春」における内面的「精神的生」の軌跡を、すなわち、「非市民化の物語」から「市民的芸術家」を生み出す内的真実を明らかにしようとするものである。細心の注意を払って読み解くことで、若い彼の文学の豊かさとその深層にひそむ真実を、具体的に分かりやすく紹介する。
目次
はじめに なぜ、「トーマス・マンの青春」か
第1部 『トーニオ・クレーガー』以前の短編小説(「生を真面目に営むこと」と「芸術的・感覚的性向」と―リューベック時代;作家として発つ;作家とはなにか、文学とはなにか)
第2部 『トーニオ・クレーガー』(どのようにして生まれたか;トーニオは「青春」をどう生きたか;どのように読まれたか)
おわりに 「トーマス・マンの青春」の歌としての初期短編小説
著者等紹介
岡光一浩[オカミツカズヒロ]
1943年山口県生まれ。広島大学大学院修士課程(独語独文学専攻)修了。北海道教育大学、北海道大学勤務を経て、山口大学教授として定年退職。現在、山口大学名誉教授。専門は、世紀転換期のドイツ文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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