内容説明
本書は1970年代に若者たちの間でベストセラーとなった高野悦子著『二十歳の原点』三部作の『二十歳の原点序章』新装版です。二十歳と6か月で、その生涯を自ら閉じた著者が高校卒業から京都で過ごす大学生活の青春時代を綴った日記です。
著者等紹介
高野悦子[タカノエツコ]
栃木県那須郡西那須野町(現那須塩原市)生まれ。宇都宮女子高を卒業し、立命館大学文学部史学科へ進学。社会・政治に関心を持ち、やがて学内バリケードに入るなどの活動を経験。しかし大学3年進級後の1969年6月24日未明、鉄道自殺を遂げる。中学時代から書き続けた日記が、『二十歳の原点』(1971年)、『二十歳の原点序章』(1974年)、『二十歳の原点ノート』(1976年)として新潮社より出版され、ベストセラーになった(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
SOHSA
20
30数年ぶりの再読。多感で繊細で独善的で理想的で怠惰で情緒的な青春時代は、誰にでもある。その時代は往々にして高い理想と人間的な欲望の狭間で思い悩み、あてもなく彷徨する。本書の中に繰り返し登場する、新たな決意と一転しての諦めの場面は、同じところをぐるぐると回り続け、次第に疲弊していくリングワンダリングを連想させる。はたして高野悦子はそうして出口を見失っていったのか。死の直前を記した『二十歳の原点』よりも本書『~序章』にこそ、高野悦子の苦悩の原点が見て取れるように思う。2013/12/07
LNGMN
11
『原点』から遡り、高校3年冬の大学受験から大学2年冬まで、2年間の日記。他者との繋がりや理解を求めながらも社会と相容れることができぬ寂しさ。その要因を自身の未熟さだと断じる高野の純粋さが、「自己否定からの自己変革」として学生運動に身を投じるベースになったのだと感じた。2024/12/02
活字の旅遊人
7
それで僕も日記をつけたりはしたんだよな。
あさぎ
6
「独りであること、未熟であること、これが私の二十歳の原点である。」の一文が有名すぎる日記『二十歳の原点』。冒頭一文が鋭くて完成度が高すぎるので、彼女をつい一般的な大学生とは違う、特異な存在であるイメージを受ける。でもこの序章を読む限り、彼女もまた私と変わらず、自分のぐうたらさに日々いらっとしたり開き直ったりしながら過ごし、空気ばかり読んで他人に迎合する自分をたまに嫌に思う、ごく普通の大学生だ。学生闘争という時代背景こそあれど、彼女の姿は性別学校を問わず、多くの学生のなかにちょっとずつあるのだと思う。2011/02/11
conegi
4
立命館入学から学生運動、ワンダーフォーゲルに青春を燃やした著者。日記の内容は段々と死を意識したものが見え隠れしている。理想を置き、それに到達出来ない自分への批判。読んでると不安になってくる。もし、著者が冷静な気持ちで日記を読み返す時間があれば、自分の気持ちの危うさを感じ、方向を修正する事が出来たのではないか?と感じる。日記は良くも悪くも気持ちを素直に表現する。2021/08/01