出版社内容情報
タンゴのルーツをたどり、バンドネオン・ディアトニコという楽器の歴史・構造・特徴を徹底的に追求した労作。日本有数のバンドネオン・ディアトニコ奏者であった著者が、タンゴのルーツ
をたどり、その演奏に欠かすことのできない楽器、バンドネオン・ディアトニ
コの歴史・構造・特徴を徹底的に追求した労作。バンドネオンのボタンと音符
の対照図を付す。
アフリカの踊り、キューバのリズム、イベリア半島のメロディが、南米で出合
い、ブエノス・アイレスで一つに育った。それがタンゴです。
第?部 タンゴ?謎と奇蹟の舞曲
1 ラプラタ植民地とアルゼンチンの歴史
黒いマリアの像
アルゼンチン前史
ポルトガルのアフリカ征服/コロンの新大陸発見/トルデシージャ条約
ラプラタ植民地の先住民とスペイン人
ラプラタ河の発見/スペイン人の新大陸征服/新大陸の先住民族/先住民族とタンゴの関係
ブエノス・アイレスの建設
征服者の派遣と植民/スペイン版金比羅の港/ブエン・アイレの聖母はイタリア出身/草原
の馬の大群は十二頭から
ラプラタ植民地の独立
ブエノス・アイレスの再建/アルゼンチンへの経路/牛馬の姿のない壁画/ラプラタ植民地
の独立
2 「タンゴ」の語源とその意味の変遷
タンゴとタンボ、タンボール
タンゴという言葉はどこから来たか/タンゴをタンボと間違えたスペインの役人
タンゴマオと呼ばれた人たち
奴隷売買の案内人/タンゴマオはサントメの住民/ラテン語とポルトガル語の関係
「タンゴ」という言葉の変遷
禁断の地「タンゴ」/「タンゴ」で売られた黒人奴隷
ラプラタ地方の黒人たち
家事労働、育児を分担/黒人の踊り、カンドンベ/クリオージョという言葉
モンセラー街の誕生
バルセローナのモンセラー教会/ブエノス・アイレスにもモンセラー教会が出現/カンドン
ベを生んだ所
3 ミロンガからタンゴへ
カンドンベ・クリオージョの誕生
ラサ・アフリカーナ楽団/兵営からも生まれた/チーナの部屋(クワルトス・デ・チーナス)
/カンドンベはモンテからブエノスへ/白人のカンドンベ楽団「ロス・ルウボロス」
ヨーロッパと新大陸を行き来した舞曲
ベニスの踊りがアンチル諸島へ/ヨーロッパのタンゴ・アンダルース/パジャーダーのグワ
ヒーラ
黒人の歌と踊り「ミロンガ」
ブラジルの黒人奴隷の言葉/チーナの部屋で生まれたミロンガ/二つのハバネラ/
リズムの変化
モンテビデオのラ・アカデミア
「コム・イル・フォー」(うまくやれよ)/ラ・アカデミアの内部/コルテとケブラーダ/
異説・ひやかしの踊りミロンガ/コルテとケブラーダ、地方に広がる
ラ・アカデミアのミロンガ
歌のミロンガから踊りのミロンガへ/ラ・アカデミアの女性たち/チークダンスのはじまり
舞曲ミロンガの成熟
ブエノスのラ・アカデミア/ミロンガの試合/ミロンガを完成させた三つの要素/タンゴの
元祖・ミロンガ/「ラ・クンパルシータ」のモデル/男性の踊りタンゴ/タンゴは町の踊り
/ペリングンデイネス(ダンスホール)
4 クリオージョ・タンゴの誕生
娼婦とイタリア移民
オリジエーロ・ネグロの減少/出発は三部形式のソナタ/売春宿と音楽/高級売春宿から名
曲が生まれた/イタリア移民とコンベンティージョ/ブエノス・アイレス市の近代化
初期のタンゴ
最初のアルゼンチンタンゴは?/ピアノ用タンゴの発表/タンゴ・バルトロの謎/初期の曲
に盗作の被害が続出/ピアノ用タンゴの普及/活躍したクリオージョの作曲家
タンゴを育てた町
発祥はモンテ、育てたのはブエノス/歌詞からもブエノスに軍配/ブエノスでタンゴの踊り
のレッスンが流行
タンゴ、欧州へ
黒人たちのものを白い手がヨーロッパへ紹介/一九〇〇年初期のタンゴ/オルケスタ・ティ
ピカとは/バンドネオンが音楽の性質を変えた/ゴビの演奏活動
ブエノスのタンゴは、ロス・コラーレス・ビエホから
混血の舞曲/孤独にみちた草原のフォルクローレ/草原の家畜が集まる所/タンゴの仕上げ
はイタリア移民/タンゴと歌との関係/完成品はコンチネンタルタンゴ
5 タンゴの奇蹟
ヨーロッパ人のアルゼンチン観
パリ発・タンゴブーム
花のパリとアルゼンチンタンゴ/タンゴ服の流行/タンゴの道徳性の是非/パリ駐在アルゼ
ンチン大使の声明
各国の反応
ローマ法王タンゴを見る/ドイツの場合/オーストリアの禁止令/北米ではタンゴで裁判/
社交ダンスのタンゴはイギリス生まれ
フランシスコ・カナロの登場
第?部 バンドネオン
1 バンドネオン・ディアトニコという楽器
二つのバンドネオン
一つの名称に二種類の奏法!?/アクセサリーとして使用されたバンドネオン/クロマティコ
とディアトニコ
複雑な構造をもつバンドネオン
外部の構造/内部の構造/バンドネオン・クロマティコの音階/複雑な音階配列のバンドネ
オン・ディアトニコ
アルゼンチンタンゴの特徴
バンドネオンの演奏方法/表現テクニックの違い
2 バンドネオン・ディアトニコの誕生と発達
バンドネオン生まれる
名前の由来と誕生地/傷みやすい蛇腹/カーニバル用に作られた
初期のバンドネオンとその量産
楽器のボタンは32個から/アルノルドによる量産の開始/アルノルドだけが造ったわけではな
かった
アルゼンチンのバンドネオン
最初にもたらした人は?/バンドネオン以前の楽器/ハーモニカとオルガニート
バンドネオンの地位の確率
最初は他の楽器の物まね/バンドネオン演奏の先駆者たち/バンドネオンがレコードに登場/
多彩なバンドネオンの音色
バンドネオン・ディアトニコの発展と亜流
バンドネオンの兄弟たち/新形式のバンドネオン登場か?/ブラジルのバンドネオン
3 日本のバンドネオンのパイオニアたち
バンドネオン私史
アルゼンチン人から見た「日本のタンゴ史」/バンドネオンとの出合い/バンドネオン・ディ
アトニコを入手/弾いているふりから出発/アルゼンチンでは、バンドネオン・ディアトニコ
だとわかった日
日本のバンドネオン奏者
戦前のバンドネオンのスターたち/一九三八年のタンゴ楽団の実情/「オルケスタ・ティピカ・
東京」の影響
バンドネオン・ディアトニコの魅力
日本固有のバン・ディア、バン・クロ混成楽団/タンゴ技術向上のために/フォルクローレ的
色彩をもつバンドネオン・ディアトニコの魅力
付 一九三八年春季ダンスバンド名簿
一九三八年現在のダンス・ホール
参考資料
舳松 伸男[ヘノマツ ノブオ]
著・文・その他
内容説明
タンゴのルーツをたどり、その演奏に欠かすことのできない楽器、バンドネオン・ディアトニコの歴史・構造・特徴を徹底的に追求。バンドネオンのボタンと音符の対照図つき。
目次
第1部 タンゴ―謎と奇蹟の舞曲(ラプラタ植民地とアルゼンチンの歴史;「タンゴ」の語源とその意味の変遷;ミロンガからタンゴへ;クリオージョ・タンゴの誕生;タンゴの奇蹟)
第2部 バンドネオン(バンドネオン・ディアトニコという楽器;バンドネオン・ディアトニコの誕生と発達;日本のバンドネオンのパイオニアたち)
著者等紹介
舳松伸男[ヘノマツノブオ]
1930(昭和5)年7月大阪市に生まれる。1954年大阪市立医科大学卒業。1960年大阪市内にて内科医院を開業。1966年タンゴ楽団「ロス・アセス・デ・オーサカ」を結成し、リーダーとして活躍した。日本を代表するバンドネオン・ディアトニコ奏者。1989年10月有志とともにタンゴ楽団「ポナリア」を編成した。2018年3月12日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。




