内容説明
「負け犬」「おひとりさま」「勝間和代本」ブーム…これらはニッポン女子の無頼化現象を示す。勝間和代のようなサバイバル・エリートは最先端をいく究極の無頼化女子でもある。彼女をロールモデルとしたカツマーの出現と婚活流行(保守化)はコインの裏表だ。普通の幸せの値段が軒並み高騰するハッピーインフレ時代、女性は幸福のリスクマネジメントを迫られつつやさぐれ、何らかの形で無頼化せざるを得ない。女子カルチャーの分析を通じてその構造を読み解く。
目次
はじめに ニッポン女子はなぜやさぐれてきたのか
第1章 ニッポン女子のハッピーリスクと「第一次無頼化」の到来
第2章 社会のゆがみとニッポン女子の「第二次無頼化」
第3章 女のパロディとしての「第三次無頼化」
第4章 サバイバル・エリートと婚活現象
第5章 『おひとりさまの老後』革命
第6章 ニッポン女子無頼化現象が示す真実
著者等紹介
水無田気流[ミナシタキリウ]
1970年生まれ、神奈川県出身。詩人、社会学者。早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程単位取得満期退学。現在、東京工業大学世界文明センター・フェロー。2006年、国道16号線沿いのサバービアンとして育った原風景を織り込んだ第1詩集『音速平和』で第11回中原中也賞。2008年、第2詩集『Z境』(ぜっきょう)で第49回晩翠賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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金吾
21
無頼化がよく理解できないまま読みましたが、紫式部が無頼化キングという部分は吹き出してしまいました。2025/05/04
あかつき号
6
鈍感に生きてきたなぁ、とちょっと肩身が狭かった。2016/02/28
明智紫苑
4
「女の幸せ」という言葉や概念は確かに、色々な意味で「勝ち組」の女性をも苦しめるだろう。しかし、義務教育時代の男子クラスメイトから「ばい菌」呼ばわりされていじめられて男性不信を植え付けられて結婚願望をひねりつぶされた私のような負け組女にとってこそ、この「女の幸せ」という言葉は忌々しい「呪文」なのだ。水無田氏のようにある程度恵まれた人が「凡庸」ならば、私なんてまさしく「凡庸未満」ではないか!?2014/06/25
seura
3
正しさと望ましさ=美学/男女雇用機会均等法と3号被保険者制度導入は1986同年/授乳中ピザ食べれなかったらイタリアのお母さんはどうするの/普通にしているとこどもは産まれない/セクハラされるのはやだけど全くモテない女でいることは切ない2017/11/11
まあい
3
「正しさ」と「望ましさ」、正義と願望の分離をベースに、日本女性がいかに社会変動に翻弄されてきたかを論じる一冊。酒井順子、勝間和代、上野千鶴子(『おひとりさまの老後』)の批評としても魅力的。欲を言えば、論拠をもうすこし詳しく書いてほしかったが、学術書ではないから充分か。読みやすくて示唆に富んだ、社会学的女性論。2016/08/10