内容説明
天文元年(1532)、守護大名細川晴元が実権を握る室町幕府の内紛を契機に、一向一揆(浄土真宗)が暴徒と化し、畿内が内乱の様相を呈するに至ったとき、晴元被官の守護大名らとともに法華一揆(日蓮宗)もこれを制圧し、浄土真宗の総本山山科本願寺を焼き討ちにした。以後、京都を舞台に、幕府、守護大名、比叡山、一向一揆が入り乱れて争うなかで、京都町衆とともにあった法華一揆は一大勢力として戦国期京都の自治を担ったのである。本書は、その戦歴を辿り、ついには天文法華の乱(1536)で京都が焼尽、法華一揆が壊滅するまでを描く。
目次
序章 宗教的大事件
第1章 京都へ―鍋冠り日親
第2章 死闘の始まり
第3章 初期の軍事行動
第4章 講和へ
第5章 洛中支配―抗税闘争ほか
第6章 天文法華の乱
終章 冬の時代
付章 松本問答
著者等紹介
今谷明[イマタニアキラ]
1942年京都市生まれ。専攻=日本中世史。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得。京都大学助手、国立歴史民俗博物館助教授、横浜市立大学教授、国際日本文化研究センター教授を経て、都留文科大学学長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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けけくち
1
一向一揆以外でこれだけの宗教勢力が存在したことに驚き。畿内の戦国時代は単純な国盗り合戦でないから、よくよく噛み締める必要があるが面白い。山門側もそうだけど、これだけの勢力が織豊期以降は嘘のようにおとなしくなってしまうのはなぜだろう?刀狩、検地がカギなのかもしれんね。2024/12/21
かずさん
0
地元ながら知らない事だったので、興味深く読んだ。なかなか難しかったけど…。2012/11/12
nagoyan
0
優。戦国期日本に政治経済文化上卓越した地位にある都市・京の都市市民層による武装・抵抗・自治の姿が、洛外・畿内近国に勢力を張る真宗教団・門徒農民との対抗関係、細川京兆家、戦国大名京極家との連携・対抗関係を通じて解き明かされる。「天文法華の乱」に至る京「町衆」の政治的盛衰。山門との抗争を奇貨とし弾圧に乗り出す京極や、さんざん利用した後で、山門・京極の弾圧を黙認する細川京兆・幕府権力。2011/02/13