内容説明
特異で滑稽、けれども絶対気になる日本一有名な文学賞。その第1回から第147回までの受賞作と候補作の選考過程にまつわるエピソードを網羅した「権威」と「喧騒」のドキュメント。
目次
第1章 誕生―「権威」を問われての船出
第2章 変質―主導権が選考委員会から出版社へ
第3章 乖離―単なる一新人賞を超えた過分な注目
第4章 喧噪―話題性と批判の声、ともに拍車がかかる
第5章 失速―若手作家に厳しく、授賞なし頻発
第6章 延命―圧倒的な知名度、他の賞を寄せつけず
第7章 独走―結局、誰も止められないままに
著者等紹介
川口則弘[カワグチノリヒロ]
直木賞研究家。1972年、東京都生まれ。筑波大学比較文化学類卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
204
日本で最も有名な文学賞で ある「芥川賞」の物語。 文藝春秋の宣伝のために 始まった芥川賞がどう 変遷を遂げたのか…時代背景もあるが、作家の素顔が みえて面白い。 個々の受賞に対して、 選考委員のバトルがもう 少し知りたいとは思うが、 あまり知られていない 選考の裏側が新鮮である。2014/10/13
山田太郎
54
直木賞物語読んでこっちもあるので読んでみる。好きな直木賞の方が面白いと思った。2014/03/13
やっさん
30
直木賞を愛している著者が依頼を受けて著した本。倒錯してますね。第147回の『冥途めぐり』まで。編年体、とまでは言わないが受賞作、候補作、その回の選考で起こったトピックを手短に記述という構成が続きなかなかページが進まなかった。読んだことのある年代からは少しペースアップ。『ピンボール』も候補の村上春樹に与えなかったの、失敗だったな~?山田詠美、島田雅彦、角田光代、島本理生(←金原・綿矢年代!)等、何度も候補に挙がりつつ受賞ならなかった人多いんですね。山田・島本両氏は受賞していないのに選考委員になっていますね。2024/09/15
Fondsaule
28
★★★★☆ 直木賞物語が面白かったので、それに先立って出版された、この芥川賞物語も読んでみた。著者も言うとおり芥川賞は<何だかんだ言われても、結局注目される芥川賞>なのだ。面白かった。文庫版も出ているみたいだ。 (でも「直木賞物語」のほうが絶対面白い)2017/02/18
メタボン
28
☆☆☆ ざーっと芥川賞の歴史を通読。受賞しなかった村上春樹、島田雅彦、吉本ばななは、自分が「文学青年」気どりだった頃にむさぼり読み、芥川賞なんて取らなくてもいい作家に傾倒していた。受賞しなかった作家の中で、逆説的にも一番芥川賞にふさわしい作家の一人としては佐藤泰志があげられる。この人にこそ芥川賞を受賞してほしかった。今後も芥川賞は注目され続けるだろう。しかし、作者の川口氏と同様、私も読んで楽しいのは直木賞だと最近感じ始めている。2013/07/29