内容説明
原発事故が起きても、鳥ではない人間は、飛んで逃げることはできない。足尾鉱毒事件の地で出会った良明とゆきは、原発、エイズ、教育の自由、日本の東南アジアへの経済進出などについて深く語り合いながら、愛を深めていく。そして…長年の市民活動から湧き出した入魂の一作。
著者等紹介
田沼博明[タヌマヒロアキ]
1952年2月栃木県佐野市に生まれる。1975年3月中央大学法学部卒業。自治体職員として、消費者センター・女性センター・保健所などで勤務。1988年から居住地の埼玉県加須市で市民グループ「へんじゃないかい」の世話人となり、2011年まで「へんじゃないかい通信」を発行する。また、旧「日本子孫基金」の世話人を務め、環境ホルモンやダイオキシン問題などを学ぶ。2012年3月定年退職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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yamakujira
3
交通事故で妻子を失った青年教師が、さまざまな社会問題と向き合いながら、足尾で出会った女性に惹かれていく。良明もゆきも、お互いに失った人の面影を相手に見てるんだから、ラストはこうなるしかないのだろう。切ない恋愛小説を飾るのは、足尾の鉱毒問題、原発の危険性、薬害エイズ事件などで、まじめな会話には頷くことも多いのに、これほど畳みこまれると疲れるな。頻出する短歌も目ざわりだし、エピローグは物語から離れたあとがきだし、小説としては評価しにくいけれど、思考停止を戒められているようで背筋が伸びる。 (★★☆☆☆)2018/03/28
みーなんきー
3
日本の問題点をさらりと総ざらいしながら、2人の人間の個人的な深層の悩みに触れる。 地名、人物名、そのまま書いているので関係者は面白いかも。2014/10/17