内容説明
本書は第19回華人学術賞受賞作品であり、日本語の連体節を中国語に翻訳するための翻訳パターンを構築した実践的な言語研究成果である。従来の翻訳手法が主観的な要素に依存している点に着目し、客観的な要素を取り入れた翻訳方法を提案している。具体的には、被修飾語の意味役割、主節と連体節の事態の時間的関係、被修飾語の語彙情報など、翻訳に影響を与える客観的な要素を考慮しながら、日本語の連体節を中国語に翻訳するための翻訳アプローチをフローチャートの形で提案し、アンケート調査などの形でそのアプローチの実行可能性を検証した。「直訳」「意訳」「分訳」「非分訳」の関係を整理し、「分訳法」と「非分訳法」それぞれに適用する翻訳パターンと各パターンの適用条件を明示化した。また、研究の焦点を内の関係連体節と命題補充型連体節の2つの主要な日本語の連体節構文に置き、これまでに見過ごされてきた側面を詳細に考察した。総じて、本研究の成果は、限られた視野内で特定の視点から、翻訳の実務に関する限定的な示唆を提供している。また、異なる言語や文化の交わりを考慮しながら、今後の翻訳手法の進化に対する可能性を示すことを意図している。学界および実務界で注目を集める、翻訳アプローチへの新たな開拓に期待する一冊。
目次
第1章 序章
第2章 先行研究と本論文の位置付け
第3章 「分訳法」に属する翻訳パターンと各パターンの適用条件について(1)内の関係連体節
第4章 「分訳法」に属する翻訳パターンと各パターンの適用条件について(2)命題補充型連体節
第5章 「非分訳法」に属する翻訳パターンと各パターンの適用条件について
第6章 日本語連体修飾節の翻訳アプローチの検証―内の関係連体節と命題補充型連体節について
第7章 終章
著者等紹介
谷文詩[コクブンシ]
北京航空航天大学外国語学部講師。1992年中国河北省生まれ。北京理工大学日本語学部卒業。北京大学日本語MTIセンター日本語通訳翻訳修士課程修了、学位取得。筑波大学人文社会科学研究科博士課程修了。博士(言語学)学位取得。専門は日中言語対照研究、日中翻訳(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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