出版社内容情報
政治・脳死・宇宙・細胞・絵画・音楽・文学・教育……。関心領域のあらゆる事象を論じ続けた、不世出の「万能知識人(ゼネラリスト)」。その仕事と生涯を丹念に追う、名手による長篇書き下ろし評伝。
彼には、すでにして「知の巨人」という、不動の商標がついていた。私を奮い立たせたのはまず、このイージーな商標を引き?がしてみたいという批評家としての欲望であった。卓越した知的フットワークの持ち主である彼に、「巨人」というレッテルを押しつけるのは、いかにもその有機的、動態的な知性の運動を静止させることでしかない。「知の巨人」である以前に、彼は大いなる旅の人であった。その軌跡を追うことはまた、知的な遍歴をたどり直すことでもあるだろう。サブタイトルにこめたのは、そのことである。
遥かなる知の旅――その第一歩は到達点へのそれではなく、帰還への小さな一歩である。大いなる旅人はしかし、同じ場所に戻ることはできず、同じ人間にとどまることもできない。「旅」は人間に何らかの変容をもたらし、それが次なる旅を促すことになる。立花はこの意味で、常に、そして既に「途上」にある人だった。(本書「あとがき」より)
内容説明
政治・脳死・宇宙・細胞・絵画・音楽・文学・教育…。関心領域のあらゆる事象を論じ続けた、不世出の万能知識人。その仕事と生涯を丹念に追う、名手による長篇書き下ろし評伝!
目次
死を語る言葉たち
武満徹への旅
香月泰男との運命の出会い
評伝1 引き上げ・両親のこと
評伝2 父・橘経雄の戦後とルーツ
評伝3 大学時代、文春入社と退社の経緯
出世作『思考の技術』の画期性
宇宙・細胞・進化をめぐって
分子生物学へのアプローチ
ロシア・コスミズムとコミュニズム
「臨死」問題への遡行
「脳死」をどう捉えるか
教育制度改革からの脱出、立花隆と東大
科学する頭脳とメディア問題
リベラル・アーツの起源と歴史展開
情報のインプット・アウトプット
アナログからデジタルへ
評伝4 橘孝三郎との血縁と思想的切断
評伝5 被爆都市・長崎と幻想都市・長崎
評伝6 フィクションからノンフィクションへ
評伝7 田中角栄との二十年―金脈問題からロッキード裁判まで
ノンフィクションとしての「研究」
評伝8 ノマド立花隆のライフスタイル
評伝9 結婚と破局、初婚の妻を看取るまで
万能知識人のロゴスとパトス
評伝10 立花隆の大きな旅
未来の他者―立花隆は二度死ぬ
著者等紹介
高澤秀次[タカザワシュウジ]
文芸評論家。1952年北海道室蘭市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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