感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きょちょ
23
長篇1作、短篇28作ほか。 長編「筒井順慶」は、作者自身が描いた漫画の方が記憶に残っていた。 短篇では、「美女」「時の女房」「雨乞い小町」「夜の政治と経済」などは面白く読めたが、完成度の高い短篇が数多く出てくるのは次巻以降だろう。 ★★★2018/10/12
猫丸
13
すでに狭義のSFから逸脱しかけている第六巻。1960年代末の作品たちである。中学生であった僕は「筒井順慶」をSFっぽくないからという理由で好まなかった記憶がある。いま読むと、かなり周到な準備のもとに書かれた形跡が認められ、多忙のさなかにあっても手を抜かない気概を感じる。短編の「君発ちて後」についてはストーリーを忘れていても、表現の断片が鮮明に記憶にのこっているのに驚いた。「(彼女の大腿から)ばりばりと大きな音を立ててその視線をひっぺがした」「八百屋の若者が火炎放射器のような視線を彼女の腰のあたりに向けて」2021/11/07
隠者
1
全体的に人を食ったような作品というのが一番しっくりくる。この頃になると何というか文章的にもこなれてきた感じも強く読みやすさと面白さがいい具合にマッチしてきてる感じに。表題作『筒井順慶』がお気に入り。長編だけあってプロットもしっかり練り込まれてる上にただの歴史小説など書いてたまるか!という作者の気概も感じる。その分恐ろしく人を選ぶ作品にはなっているけど筒井康隆が好きかどうかというだけのような感じにも。2025/06/19
しゅう
1
晋金太郎、私小説、我が愛の税務署、美女が特に楽しかった。 全体的にSF色が少なめだったが、現代の社会性を皮肉っている作品が多くて楽しめた。 2023/02/19
渡邊利道
1
パロディから楽屋落ち、形式的実験そしてメタフィクションへ、という流れが予感できる作品群。文化パロディ「色眼鏡の狂詩曲」、笑えるホラー「懲戒の部屋」など。「ふたりの印度人」「アフリカの血」は傑作。『わが良き狼』など、パロディにセンチメンタルさが加わって逆にストレートな感触が出てるのにも作家が「乗ってる」のを感じさせられる。2017/05/12