出版社内容情報
感動的な裁判の記録――。いかに住民は闘い、いかに勝利したか?
「中通り訴訟」とは、避難せずに福島市などで暮らした五二人が、原発事故で 精神的損害 を被ったとして、東電に計約一億円の支払いを求めた損害賠償請求訴訟である。地裁は住民側が勝訴したが、東電は高裁に控訴、さらに最高裁に上告。
最高裁は東電の上告受理申し立てを退け、中間指針の金額を超える住民の精神的損害を認めた高裁判決が確定した。
この本は、一人の弁護士を先頭にして、原発事故で被った「心の損害」を諦めずに訴え続けた、私たちの誇りの記録です。
と同時に、私たちにとって涙なくしては語れない闘いの記録です。
2011年3月11日、福島第一原子力発電所事故によって、平穏な私たちの日常は一変しました。汚染された空気・土地・山々、住まいのなかで、どのように生きていったらいいのか途方にくれ、生きる希望を失いました。
私たちは「原発事故による放射能被害はなかった」ことにされないために、原発事故に際して受けた悲しみや苦しみ、不安な気持ちなどを陳述書にしたため、裁判を起こしました。原告の大半が女性で、福島県中通り地域(避難指示区域外)に住んでいます。(原告・佐藤弘子「はじめに」より要約)
内容説明
「中通り訴訟」とは、避難せずに福島市などで暮らした五二人が、原発事故で“精神的損害”を被ったとして、東電に計約一億円の支払いを求めた損害賠償請求訴訟である。地裁は住民側が勝訴したが、東電は高裁に控訴、さらに最高裁に上告。最高裁は東電の上告受理申し立てを退け、中間指針の金額を超える住民の精神的損害を認めた高裁判決が確定した。感動的な裁判の記録―いかに住民は闘い、いかに勝利したか?
目次
第1部 裁判の記録(訴状 2016(平成28)年4月22日
裁判所に提出された原告の陳述書(抜粋)
和解による終了を求める意見陳述書 2019(令和元)年7月17日
控訴審(仙台高裁)判決要旨 2021(令和3)年1月26日判決言渡)
第2部 裁判を振り返って(中通り訴訟のあゆみ・年表;私にとっての訴訟とは―中通り訴訟のあゆみに沿って;中通り訴訟の特徴と勝因分析;陳述書を書くということと、慰謝料請求訴訟をすることとは何か?(2014年10月)
陳述書を読んで感じたこと(2015年1月) ほか)
著者等紹介
野村吉太郎[ノムラヨシタロウ]
弁護士、東京弁護士会所属。1958年大分県竹田市生まれ。2010年~22年、東京簡易裁判所調停委員。2011年・東日本大震災の後、弁護士会の枠を超えて全国の弁護士に被災地支援を呼びかけ「弁護士海援隊」を組織し、被災地各地で“無料法律相談”を行なう。東日本大震災と同時に発生した福島第一原子力発電所の事故に関連する損害賠償請求のADR申立・訴訟に多数関与する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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