出版社内容情報
市川雷蔵の「眠狂四郎」、勝新太郎の「座頭市」、若山富三郎の「子連れ狼」を演出した大映時代劇の名匠・三隅研次。
スタジオシステムに鍛えられた確かな演出力を持つ職人でありつつ、進取の気性に富んだ映画作家。
その全体像を初めて明らかにする、画期的書き下ろし長編評論!
詳細なフィルモグラフィー付。
三隅が単なる職人にとどまらないこと、つまり確かに「映画作家」でもあることを本書は明らかにしようとするものだ。しかも、三隅が映画作家であることは、作品内で語られる「思想」以上に、その「表現」に表れている。三隅が細心の注意を払った編集、そして構図、人物造形やその配置といった表現は、職人的な技量の卓越を示すばかりではない。そこには、映画という表現の条件そのものへの問いがある。映画だからこそできるその可能性、映画だからこそできないその制限。三隅はフィルムで撮られる映画というものの持つ条件に意識的であり、その条件の限界を際立たせることで、あるいはその限界をこそ可能性として生かすことで、映画そのものについて思考したのであり、その意味で作家と呼んでしかるべき存在だと本書は考える。(「まえがき」より)
内容説明
市川雷蔵の「眠狂四郎」、勝新太郎の「座頭市」、若山富三郎の「子連れ狼」を演出した大映時代劇の名匠・三隅研次。スタジオシステムに鍛えられた確かな演出力を持つ職人でありつつ、進取の気性に富んだ映画作家。その全体像を初めて明らかにする、画期的書き下ろし長編評論!
目次
第1章 三隅研次の位置と処女作―初期三隅その一
第2章 三隅が三隅になるまで―初期三隅その二
第3章 自己確立と自己拡張の時期―中期三隅その一
第4章 決定的な年、六二年―中期三隅その二
第5章 剣三部作まで―盛期三隅その一
第6章 大映倒産まで―盛期三隅その二
第7章 狐と分身―三隅研次における人物像
第8章 三隅的「外」―三隅研次における空間
第9章 受動から能動へ―反時代=普遍としての三隅映画
第10章 新たな表現へ向かって―大映以後