内容説明
男に命を助けられ切ない恋に落ちる狐の少女ほか、「待つ」ことの苦しみと歓びを痛切に描く大人の寓話集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
soran
2
みずみずしく艶のある言葉で綴られた、幻想的な作品集。ふとしたところで見える思いがけない奥行に作者の人生経験の豊かさが感じられる。物語の表層の底に沈んでいるものをつい考えたくなる。表題作は特によかった。そういえば人魚姫もおつうもこのパターンだけれど、愛というもののある側面を残酷なくらいにえぐっている気がした。2012/08/03
さな子
1
『麻子の壺』『吾一と笛』『星とさより』『あんこう』『黄金の種子』『伊左衛門の狐』 報われる話が一つもないよ。世の中そんなに上手くいかないんだな、でももう少し良いこともあるんじゃないかな。せめてフィクションの中だけでも。 この作者の海の描写は好き。2015/01/28
くるり(なかむらくりこ)
1
透明感ある抑制のきいた文体で、得られぬものに焦がれる思いを語る六編。それぞれの物語が、心の別々の場所に小さなとげを刺す。究極のエロティシズムの文学。 2012/06/10