内容説明
猫と老嬢、人生の終末を支え合う最愛のパートナー。
著者等紹介
千田佳代[センダカヨ]
1930年、東京生まれ、函館育ち。明治大学文学部卒。文芸同人誌「公園」「朝」などに作品を発表。俳誌「杉」同人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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散文の詞
158
一人暮らしの老齢の女性とネコの話です。 まあ、よくあるのかもしれません。 だから、これと言ったことも起こりません。 ただ、静かに年を取っていく。 ネコも、年を取っていく。 生きていくことに意味があるのでしょう。 エッセイのような感じでしたから、もっとか細かく区切られててもいいかもって思いました。 2022/01/07
真理そら
62
1930年に生まれ、養女に出され、空襲で足が不自由になった独身女性の2008年までの猫との関わりを描いた物語。主人公は作者と同様に俳句をやっているので季節の移ろいの描写に独特の具体性があるのが特徴。それはさておき、猫と暮らして、その猫を喪った経験のある身には実感として迫ってくる猫との関わりの描写が楽しくて辛い。現在と過去が入り混じった書き方なのだが最も長いはずの仕事の描写が無いのが不思議な気がした。2022/01/25
ホレイシア
8
まずしょっぱなの、古色蒼然とした蔵書をいつか全部捨ててやる、老人ホームには「エロイカより愛を込めて」だけを持っていく、というくだりでやられた(笑)。猫との暮らしも、いろいろな書き方があるのだなーと思う。2011/03/24
ちゃちゃ
7
やっぱり猫は大切な人生のパートナーなのだな。一緒に暮らしてみたいものです。2010/12/11
soran
6
著者と重なる語り手は俳人なのだが、なるほど、と思える研ぎ澄まされた文章。とにかく言葉をぐっと抑制していて、読者のまえには「語られないこと」が広く深く豊かに広がる。言葉の余韻を聴くようにして読んだ。敗戦間近に米軍の機銃掃射を足にくらって片足が不自由に。それもあって独り身のまま凛と生きてきた女性の老い暮らしと猫との関わりが鮮烈に、そして哀切に描かれる。猫小説、老いの小説、独り居の小説にまた一冊名作がくわわった。2010/10/13
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