内容説明
倉田莉絵は、「自分の人生は、自分でつくるものだ」と東京に出てきた大学一年生。その気の強さから、バイト先では頼りにされるものの、恋人とは長続きしない。そんな彼女の前に現れたのは、背が高く綺麗な目をした無口な男の子、谷耕太。中学2年生だった―。大人気純愛小説『はじまりの空』に続いて発表され、恋愛を超えた絆に読者の心がふるえた愛の物語が、待望の文庫化。
著者等紹介
楡井亜木子[ニレイアキコ]
1961年兵庫県生まれ。92年『チューリップの誕生日』ですばる文学賞を受賞し、翌年三島由紀夫賞候補となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ひめか*
21
私が小学生の頃書いた小説に設定が少し似ていて驚き。心が強くてしっかり者の莉絵が、壮絶な過去を持つ5歳年下の耕太を引き取り一緒に暮らす物語。人間と扱わられていないくらいひどい仕打ちを受けていた耕太が本当に可哀想で、正義感の強い莉絵が守ってあげなきゃと思うのも当然だろうと思った。耕太を一人前の男にしようと一生懸命な姿に胸を打たれた。一方でそんな莉絵も後半には弱さを見せ、普段優しくて穏やかな耕太が守ってくれるシーンはきゅんとした。お互いの弱さと強さが溶け合っていた。こうやってこれからも二人で生きていってほしい。2018/05/30
赤い肉球
18
初読み作家さん。終わってしまうのがもったいない、もっと読んでいたい、って、左手が軽くなるのを恨めしく思って読んだ作品は久し振り。どっぷりとはまってしまった。二人の心の動きが丁寧に書かれていて、あっという間に読み終えてしまった。最後、耕太はどんないい男になるんだろ、と期待してた。ホントにいい男に成長する前に終わってしまったのが残念。数年後に、いい男になった耕太を、莉絵が伯母に会わせる場面が読みたかったな…。ありきたりの恋愛小説じゃなくて、こんな変わった設定のお話、また読んでみたい。他の楡井作品も読もう!2014/06/01
冬見
16
自分の人生を作るべく東京に出てきた老舗洋菓子店の娘・莉絵は、ベネチアングラスの瞳を持つ無口な男の子・耕太と出会う。透明で優しい物語。11章の最後はふたりの関係性がとてもよくでていて、胸が苦しくなった。そこに、ふたりの世界と言葉がある。まぶしくて涙がでる。恋という言葉を当てはめていいのか、迷う。ひとを恋うる話。守りたいと思う気持ち。幸福を願うこと。そばにいて欲しいと思いながら送り出す。愛だなあと思う。2017/02/26
最後の羅針盤
14
心地の良い音楽のようなささやきに気持ちが安らいで「ずっとこの時が続けばいい、いや、このまま世界の終わりでも構わない」なんて想った瞬間の記憶が甦った。照れ隠しばかりの歳になってしまったけれど、その想い出は確かに胸の中にあって、まだまだ熱を持っていることに気が付いて。久しぶりに月を見上げてみた。2015/07/22
kotono
13
タイトルがとても素敵で、ずっとこの優しい世界にひたっていたい!読み続けたい!と思える作品でした。その後、耕太がもっと成長して、伯母さんを見返してやるところを読みたかったなぁと思います。2015/01/13
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- 和書
- 物理がおもしろい!!