内容説明
内田樹、想田和弘、思想家と映画作家の作戦会議!グローバル資本主義、都市一極集中、人口減少…。幸せに生きるための現代社会への処方箋。
目次
第1章 「自然の流れ」に合わせて生きる―直進する時間と循環する時間
第2章 「地方の余白」に可能性がある―都市型グローバル資本主義からの転換
第3章 「新しい価値」を生み出す―心と身体感覚を研ぎ澄ませる
第4章 「暇と退屈」が人生を豊かにする―時間貧乏から時間富豪へ
第5章 「里山再生」が文明と自然をつなぐ―野生の反逆と向き合う
第6章 「自分の幸福」が世界を平和にする―現代社会に通ずる仏教の教え
著者等紹介
内田樹[ウチダタツル]
1950年東京都生まれ。東京大学文学部仏文科卒。東京都立大学大学院博士課程中退。神戸女学院大学名誉教授。専門はフランス現代思想、映画論、武道論
想田和弘[ソウダカズヒロ]
1970年栃木県生まれ。映画作家。東京大学文学部宗教学宗教史学科卒。米国スクール・オブ・ビジュアルアーツ映画学科卒。台本やBGMなどを排した「観察映画」というドキュメンタリーの方法を提唱・実践(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
69
循環的時間、定常的生活の大切さを、改めて感じているのが、この2,3年間。その前から、そんなことを感じ始めてはいたが、お二人の対話に並走する中で、自分の感覚を信じることができた。トピックス的に取り上げられているが、人が住まなくなったとたんに、その家が荒れ始めるということの意味が納得。ここに立脚して、物事を考えることを続けたい。2023/05/10
ヒデミン@もも
54
日本が下り坂なのは気がついていたけれど、コロナ禍でリアルな世界の対応を目の当たりにして、本当に日本って遅れてしまっているんだと実感した。内田さんが、政治に興味を持ったのが遅かったことに気がついた。2022/08/08
Tenouji
33
いつも内田先生の対談は楽しく読ませていただいておりますが、今回の対談を読んで、フト思ったのは、人間の思考そのものが、外部環境に大きく影響しているんでは、と感じました。自然、社会環境と共に変化のスピードが速い状況では、自ずと社会も個人も短期的思考になるのだろう、と。その変化のスピードに対して、旧民主主義の仕組みは、全く対応できず、機能不全になってるのでは。ただ、システムの対応スピードを全て、合わせる必要はなく、多様でバランスの取れた仕組みが理想なんでしょうが。2022/07/18
tokko
28
今政治家が「経済成長」を掲げて「日本再建」みたいなことを声高に言っていますが、この本は真っ向から反対しています。僕も経済的な豊かさを享受していながら、本当にこれしかないのだろうかという疑問は持っています。けれどじゃあ物が不足している状態に我慢ができるかと言われると、ちょっと自信が持てないでしょうか。でも田舎でほとんどお金を使わずに食べて生活していけるのなら、それもいいかなぁという気もしますし。どちらにせよ、今のこの息苦しさにどこまで僕の身体が耐えられるのか、を見極めないといけませんね。2022/07/20
コニコ@共楽
23
久しぶりに内田樹氏の本。題名にはハッとさせられます。最近の日本は”下り坂感”たっぷりの気がしますが、感じるだけでなく、正にあり様が”下り坂”ですね。データで示されるよりも、幸福でない人が多い実感が、ひしひしとしてきます。資本主義の、つねに直進する進化する時間に疲弊する社会が見えてきます。政治や教育の場で、公職についた公人が「公共の福祉」のために働くべきであるということも、現在ではないがしろにされていることも指摘されて、印象的でした。2022/08/07