内容説明
伊万里焼は、今から凡そ四百年前(江戸初期)、朝鮮の陶工の技術により、肥前有田で生まれました。近世初頭に爆発的に広がった文様と色彩の豊かさは、東インド会社を経由して、瞬く間にヨーロッパ人をも魅了しました。本書では、草創期、爛熟期、後期までを年代順に通観し、古伊万里の特徴と様式の変化を紹介します。とりどりの形と描かれた多彩な文様は古伊万里のもっとも大きな魅力となっています。初期伊万里、古九谷、柿右衛門、金襴手、染付など、一万六千点にも及ぶ館蔵品のなかから、優品三百余点を選び、確かな技巧で広く愛されている古伊万里の魅力を探ります。
目次
古伊万里の展開(草創期;寛永期;正保期;寛文期;輸出伊万里;延宝期;元禄期;宝暦期;天明期;化成期)
古伊万里文様図鑑(古伊万里の文様;植物;動物;人物;風景;建物・器物;幾何;吉祥;文字;唐草文様の変遷)
暮らしの中の古伊万里(そば猪口の魅力;変形小皿の楽しみ;飯碗の変遷;煙草用火入・灰吹)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
88
文庫版にこれだけのボリュームの画像が詰め込まれた本は珍しいのでは無いか?所謂焼き物について素人である六点にとって、古伊万里の変遷の激しさに、スタティックに捉えがちな古美術品も社会や市場の影響によって動的に変遷したことが理解できた。柳田國男が「御器のなげき」と評した木地屋の碗から白い真円の茶碗に変化していった時代を古伊万里は生きた事がよくわかる。飯茶碗の発展って結構日本文化にとっては大きな出来事だと思った。古美術の感想としては相応しいものでは無いかも知れぬが。2020/07/22
LIBRA
8
古伊万里好きなので、見ているだけで、癒されました。2022/10/10
shou
4
綺麗な写真で、解りやすく纏まっていて良かった。全体の流れの中で見ても、白の美しさと赤の華やかさでやはり柿右衛門は素敵だなあと思う。変形小皿の遊び心が楽しい。2014/03/09
もるーのれ
3
文庫本サイズでありながら写真や解説が充実していて、古伊万里の概要と変遷が非常に分かり易く理解できる1冊だった。遺跡の発掘調査をしているとなかなか完形でお目にかかることはないので、この1冊でだいぶイメージが掴みやすくなった。大皿などでの器面を目一杯使った文様が特に綺麗。2023/04/16
うしうし
1
文庫本サイズながら、カラー図版が満載で内容も超充実、最新の研究成果がわかる。佐賀県立九州陶磁文化館の監修で、古伊万里の編年及び文様、そば猪口・変形小皿・飯碗・煙草用火入と灰吹の変遷についての解説がなされている。2024/02/03