内容説明
新潟清酒のレベルアップと酒造技術者の育成に生涯をささげ、銘酒「久保田」を世に送り出した著者が、新潟の酒と文化の神髄を語る。
目次
酒造りを志したわけでもなく
いたずら心で酒を飲む
農芸化学科へ進んだ理由
ゼロからの出発、試験場勤め
「あいちゃん」の「あかい酒」
モナスカスは宇都宮に
紅麹の色素を取り出せ
まぎれもなく赤い清酒だ
「伝統を守れ」と集中攻撃
肉食に合う「越の風」を造る〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ブラタン
2
いい本だった。作者の酒造りに対する情熱がビンビン伝わってくる。「酒の成分に『心何%』なんて書けないわけですが、だからこそ、心へのこだわり、米へのこだわり、技へのこだわりが大事じゃないかと思う」と。なる程。あとがきに「馬上少年過」が書かれてある。まさにそんなことが言える人生を歩みたいものだ。ただ残念なのが、テキストや論文、インタビュー、対談を集めたものなので話がかぶる。もっとまとめて文庫本にすればいいのに。「不楽是如何」。それを楽しみにしてはどうだろう?2015/05/11
じゅんた
2
今や淡麗辛口も日本酒の趣向の一つとなったが、その淡麗辛口を新潟清酒ブランドイメージとして清酒業界に打ち出す他、新潟清酒発展にはなくてはならなかった嶋悌司氏。明確なヴィジョンと酒席で生まれる人の輪、そして伝統と新たなるものを的確に取り入れていく姿勢は感慨深い。過酷な状況にある蔵人に寄り添ってきた経験がその原動力になっているのかと思う。後輩として誇りに思います。2014/08/17
れいだー
0
今となっては当たり前のようになった新潟清酒の「淡麗辛口」というイメージを作り上げた技術者の話。 新潟の日本酒が一昔前にブームになる以前は米も酒も質が悪く、全く良く思われていなかったなんて驚きだった。 著者のとんでもない情熱はもちろんだか、県全体が一丸となって自分達の米や酒の品質を上げていこうとした結果が今日にまでしっかりと根付いているんだなと感じた。 産業製品ではなく、農業製品として、地域文化としての酒。移りゆく時代の中で、日本酒というものをどう残すべきか、著者の考え触れる事ができとても勉強になった。2024/03/01
アボット
0
この本を読んだことをきっかけに講演会に行きました。とても優しそうな先生に見えましたが、本に載っているお写真は厳しい先生という感じでした。あかい酒を始め、いろいろなお酒が生み出されたきっかけ、昔の話や自然を守る運動など興味深く書かれています。軽々しく書き申し訳ありません…。また、お酒を酌み交わしながら人との交流を大事にされています。他人のことは言えませんが、人間関係の希薄な現代に考えさせられる事のように思いました。昨年(2020年)お亡くなりになられ、心から残念に思いました。