内容説明
女性は戦争にどのように関わったのか?制服の女性は戦時下のメディアでどのように取り上げられたのか?第二次世界大戦時の制服姿の女性を通して、「女性活躍」の表象を読み解く。
目次
第1部 成長する女の子(Girls Growing Up)の時代―二〇世紀初頭のイギリス(「私たちもスカウトになれますよね」―「元祖」制服ガール、ガールガイド運動;雑誌『ガールズ・オウン・ペーパー』に見る戦間期のガール;第一次世界大戦と女性の「大義」―レイ・ストレイチーの『大義』とヴァージニア・ウルフの『3ギニー』)
第2部 第二次世界大戦下の制服ガール(イギリスにおける女たちの銃後;写真週刊誌『ピクチャー・ポスト』の制服のカバーガール;女性誌に見る制服ガールの諸相;フィクションに見る制服ガールの冒険―「空軍女性補助部隊のウォーラルズ」(Worrals of the W.A.A.F.’s)シリーズ)
著者等紹介
杉村使乃[スギムラシノ]
共立女子大学文芸学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kenitirokikuti
11
英国の制服ガールの先駆は、ボーイスカウトから派生したガールスカウトである。ボイスカ訓練の適用に、少年らの身分を問わなかった。しかし、ボイスカとガルスカは差異化されたし、ガルスカ自体も身分の高低で差異化された。そもそもワーカーの娘が上の家に奉公に上がるため教育される、という筋があったため▲1870初等教育法を受け、少年向け雑誌ボーイズ・オウン・パワー誌創刊。そしてガールズ・…が派生し、そっちはボーイよりも広い層に多く売れた。WW2開始後、女性補助部隊などへのリクルートを狙う紹介記事やスパイものが載った2022/01/16
ワッキー提督
4
両大戦期におけるイギリスの女性、特に若い未婚の「女の子」の戦時動員と、それが社会でどう描かれたかについての一冊。WW2期のソ連を除けば恐らく最も動員に積極的だった国の一つであろうイギリスではあるが、それでも戦争という「男の領域」においては補助的な役割かつ優先的に動員を解かれる地位であり、かつ時に否定的な言説や視線を向けられた様は、同様に動員されて制服を着た男性と明確に区別された存在であり、「制服ガール」というタイトルの妙を感じた。 惜しむらくは校閲が甘く文中にやや訳語がずれていると思われる個所等があった。2021/07/11