内容説明
人間の魂の奥底にある桃源郷とは?実生活で多くの挫折を味わい、人間の歴史の愚かさを知りぬいた大人の文学をのこした陶淵明。田園詩人、隠逸詩人の汲めども尽きぬ味わいを堪能するための傑作論考。
目次
序章 文学とは何か?
第1章 田園美の発見過程
第2章 友への歌の拡大
第3章 神話世界への入り方
第4章 現実政治への発言
第5章 身体観・動画性・変身する言語
第6章 桃源郷とユートピア
著者等紹介
伊藤直哉[イトウナオヤ]
1954年生まれ。福島県出身。二松学舎大学卒業、同大学院修了。現在、桜美林大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kana0202
1
訳文がなかなかフラットで良い。論文とは言えない。2023/07/01
凜瀬せんり
1
「桃源郷とユートピア」と、一見同じものを指しているかに見えて両者が全然違うことを指摘している。陶淵明の基礎知識から詩を通じて彼の思想を書き、最後の項で桃花源記における桃花源の村についての考察がなされていて、それが面白い。并詩の存在が桃源郷の村を仙境に変えてしまったこと、それを除けば桃花源の村(桃源郷)はユートピアについて描いていないことがはっきりと理解できる。桃花源記について詳しく読んでみたいなら、一読しても損はしない一冊。非常にわかりやすく書かれているため、スムーズに読める。2011/10/28