内容説明
とあるイギリスの田舎町。狂った時計が溢れかえった部屋で有名な家具デザイナーが射殺される。周囲の人々は嘘の鎧で身を固め、決して本音を明かそうとしない。絡み合う嘘の糸が解かれ、浮かびくる非情な結末とは…。
著者等紹介
フェラーズ,エリザベス[フェラーズ,エリザベス][Ferrars,Elizabeth]
1907‐1995。本名モーナ・ドリス・マクタガート。大学ではジャーナリズムを専攻。1940年からミステリを書き始め、70作品以上の長編を発表した。軽快な文章、人間心理の深い洞察、巧みなプロット等々から醸し出される、その洗練された作品群は英国本格ミステリを語る上で欠かせない存在である
川口康子[カワグチヤスコ]
青山学院女子短期大学英文学科卒。米国州立オレゴン大学留学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紅はこべ
17
オーストラリアから久し振り英国に帰国したジャスティン、亡友の妻グレースを訪問。偶然にもその日同じ村に住む家具デザイナーの他殺体が発見される。時計コレクターでもあった被害者はコレクションのあるアトリエで射殺されていた。正確な時刻を示す時計は現場に一つもなかった。狭いコミュニティの中の入り組んだ人間関係における心理、ジャスティンとグレースの微妙な関係などを会話を巧みに用いて描くところなど、クリスティ的。冒頭のさりげない描写が伏線に。動機は意外でもありましもっともでもあり。2009/10/04
ののまる
13
1954年に発表された英国本格ミステリ。えっっなんでこんな、探偵でも警察でもない、フラッとやってきた初対面の人(主人公)に、ベラベラと何でもかんでも話すかな!?嘘も交えて…。というのに、イギリスの田舎はのどかな時代なのかしら、とか面食らいつつ、途中から、嘘つきは誰じゃ!!おまえか!となって、怒濤の結末へ。主人公がいい人です。一番可哀相なのは、犬。2020/06/09
koo
6
フェラーズ初読みです、コージーと勘違いして復刊ブームからずっと避けていたのが勿体ない作品でしたね。狭いコミュニティの中起こる殺人事件、関係者の証言は嘘ばかりの上グレース初めかなり苛々させられる言動が目立ちますがプロットは地味ながら序盤から伏線が散りばめられたクリスティを彷彿とさせるクラシカルフーダニットでしたね、これから読み進めるのが楽しみになってきました。2022/06/19
tokyo-zodiac
2
2007年度「本格ミステリ・ベスト10」海外第13位。6年ぶりにオーストラリアから帰国したジャスティンは、未亡人である旧友のグレースを訪ねる。その晩、グレースが滞在先のホテルにやって来て、友人のアーノルドが殺されたので一緒に来てほしいと懇願する。家具デザイナーのアーノルドは仕事場で射殺されており、その周りにあるどれ一つとして正確な時刻を差していない彼が集めた時計の数々が、現場に異様な雰囲気を醸し出していた。また家の中には被害者の下で働く家具職人ブリルハートの飼い犬が何故か閉じ込められていた…2016/12/11
kanamori
1
☆☆☆2013/09/30