内容説明
現実界le rel、想像界l’imaginaire、象徴界le symboliqueは、それぞれ、フロイト・セクシュアリティ論の幼児期、潜伏期、思春期に該当する。また、症例における精神病、神経症、倒錯の区分もこの三界との関係から成り立っており、現代思想の実存主義、現象学、構造主義の台頭も三界理論で説明することができる。哲学と精神分析を鮮やかに論じた入門書。
目次
序 フロイトの「草稿」からラカンの論理へ
第1部 現実的なものの実存(在)(夢と精神病の主体;セクシュアリティと無意識)
第2部 想像的なものの現象学(意識とナルシシズム;トーテムとタブーの論理)
第3部 象徴的なものの構造(快感原則の彼岸)
第4部 小文字の対象aの論理(分析の終了の対象)
著者等紹介
サミュエルズ,ロバート[サミュエルズ,ロバート][Samuels,Robert]
1961年生まれ。パリ第8大学精神分析学部にて博士号取得。現在、ニューヨークで、治療及び教育活動に従事
関修[セキオサム]
1961年、東京に生まれる。千葉大学教育学部卒業。東洋大学大学院文学研究科博士後期課程(哲学専攻)単位修得修了。東洋大学文学部助手を経て、明治大学講師。専攻は、哲学・現代思想。とくに、精神分析、セクシュアリティ、ポピュラー・カルチャー・スタディを専門とする
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感想・レビュー
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またの名
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哲学による部分がほとんど最初のみの、ずっと精神分析のターン。ラカンが考案した現実界・想像界・象徴界の三つ組みをラカン自身の思考に適用し、フロイトに適用し、現代思想もすべてこの三界の枠組みで理解しようとする論考。まだ言語化されてない身体的な欲動のうごめく現実的な次元→実存主義、私の認識及び私と他者のイメージ上の関係を設立する想像的な次元→現象学、人間社会に欠かせない言語と法のシステムを備えた象徴的な次元→構造主義、といった感じに図式化していく。ところどころ疑問な記述もあるので必要がなければパスしてもいい本。2017/04/14




