感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaizen@名古屋de朝活読書会
31
#黒瀬珂瀾 #短歌 The world is mine とひくく呟けばはるけき空は迫りぬ吾に #返歌 The best in the world顧客を前に喧伝す大海原に漕ぎだす我は 春日井健序は的確で端的だ「異能の人の未来を嘉する」2017/01/13
太田青磁
12
水飲みし夢より覚めて渇くとき生死はともに親しき使徒か・魚より音楽的な夜であれ脊髄のなか心流れて・この粉は俺の神だと呟きて男あゆめり深く深くに・ウイスキー黒きボトルに象られ親のかたきのごとく飲むなり・朝刊を訃報から読む我が癖を知らずに眠る少年の息・海岸線を女体と思ふ一瞬を地図に見て旅組みてゆくかな・てのひらに孔ある人とすれちがひ見失ひたりこの繁華街・ギグ果ててヴォーカルの喉愛しぬくギター底より静寂を犯す・英雄の楽譜燃えつき月を背にうづくまる君眠りを嫌ひ・映像に見る少年の群舞かな定型にしてかくこころよし2016/07/31
yumicomachi
5
2002年12月刊行の著者第一歌集。絢爛たる語彙に彩られた美しい歌たちは、著者によって「異化された物語の断片」と呼ばれる。〈The world is mine とひくく呟けばはるけき空は迫りぬ吾に〉〈わがうちの悲歌を数へて過ごす夜の胸のかけらをしづかに拾ふ〉〈われよりも良き運持ちてうまれたる少年と外人墓地を駆け抜け〉〈集団ゆ遅れがちなるわれの名を少年一人のみ呼びくれし〉〈楡のかげから見てゐてあげる軽やかに才能がすり減つてゆくのを〉等が印象に残った。春日井建による「序」も読み応えがある素晴らしい文章だった。2023/08/26
桜井夕也
4
読了――大切に、大切に、何度も読んでいきたい。2013/04/12
紫苑
2
絶版後ほんとうに入手困難な本だったので、紀伊國屋の短歌フェアに出たとき即時購入。作者の初期の世界が余すところなく表現されている。最近の歌との変化も読みどころ。好きな歌人のひとりです。