出版社内容情報
あの哀愁の町が帰ってきた!
1981 年から82 年にかけ情報センター出版局から全3巻で刊行された『哀愁の町に霧が降るのだ』は東京の下町、江戸川区西小岩の陽の差さない6畳1間のアパートで共同生活をする4人の若者、脚本学校に通う椎名誠、大学生の沢野ひとし、司法試験を目指す木村晋介、勤め人の高橋イサオ、のばかばかしくも哀しく、ひたむきな青春の姿を描いた長編として、若者たちの共感を呼び、作家・椎名誠の人気を決定づけた記念碑的作品となりました。
以来44 年、『哀愁の町』のメンバーが装いも新たに登場! 新設の荒くれ高校での沢野ひとしとの出会いから、同級生たちとの椿事の数々、瀕死の重傷を負った交通事故での入院、年上人妻との初体験、克美荘での共同生活、そして新生活への旅立ちまで、44 年後の目線で『霧が降るのだ』では書けなかったエピソードを中心に昭和の若者の日々を描き直したのが本『哀愁の町に何が降るというのだ。』です。2年前に亡くなった盟友・目黒考二との最後の電話で「書かなきゃダメだよ」と言われ、覚悟を決めて書いたという椎名誠版ウィタセクスアリスも本書の読みどころ。また椎名誠本人によるカットも多数収録しました。
吉本隆明に「自殺を禁じられた太宰治」と形容された椎名誠のおもしろかなしむずむの世界が令和に待望の復活。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
38
こんなタイトルを付けられた日にゃ、読むしかないじゃないか。というわけで、久方ぶりに椎名誠の新刊を手に取る。あとがきによれば、『哀愁の町に霧が降るのだ』の続編ではなく、リメイクとのこと(時系列で言えば、続編は『新橋烏森口青春篇』になるわけだからね)。確かに『霧』と同じ時代、同じ登場人物のエピソードが語り直されていたり、あるいは『霧』でなかった話が語られていたりと、リメイクという表現がふさわしい内容となっている。(つづく)2025/04/01
ぽてち
30
タイトルを見れば一目瞭然、シーナさんの若き日を“昭和軽薄体”なる文体で描いたかつての名作のセルフリメイクだ。オリジナルは1981年10月から1982年11月まで上中下巻に分けて刊行された。数年遅れで読んでその面白さに夢中になり、一気にシーナさんのファンになった作品である。今や“文豪”の風格すら漂うシーナさんが、あの頃をどのように書き直したのか。さすがに“令和軽薄体”ではなかったが、書かれているのは紛れもなくあの風景で懐かしかった。初読みのエピソードもあったような……。続きは『本の雑誌』で連載中だそうだ。2025/04/26
おかむら
22
シーナの「哀愁の町に霧が降るのだ」が出たのが1981年、そうかー40年以上経つのか…。そして今回本人によるリメイク版第一部が出ました! 沢野と出会った千葉の荒くれ高校生活から小岩の克美荘でのむさい男どもの共同生活までの数年間。な、懐かしいー!必殺おまえおまえ男とか覚えてたわー。そしてリメイク版では千葉を出るキッカケとなった人妻との妖しい関係が新たに加えられてます。おお!「霧」の方も読み返したくなっちゃったー。「霧」ではあんまし目立たなかったような気がする高橋コロッケ君(イサオ」が今回はなんか良いのだ。2025/04/28
フーミン
13
『哀愁の町に霧が降るのだ』 そして今 『哀愁の町に何が降るというのだ』 シーナさんの本のタイトルの面白さにはいつも脱帽です 椎名さんの青春時代の友人に対するシャイな気持ちや風景を昭和文体で描いており懐かしいばかり しみじみと『いいなぁ』と心に染みました2025/06/26
toshi
12
もう一つの「哀愁の町に霧が降るのだ 」といった内容。 「哀愁の町に霧が降るのだ 」では書かれていなかったこととか、今だから書けることとか。 楽しく読ませてもらったけれど、「哀愁の町に霧が降るのだ 」を読んだ時のインパクトはさすがに感じなっかた。2025/04/06
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- 和書
- 百年と一日 ちくま文庫