出版社内容情報
遺伝子組み換え食品反対運動の第一人者が、新しいバイオテクノロジーであるゲノム操作技術とその作物や食品の問題点をやさしく解説食糧危機を克服するという名目のもと、いま、ゲノム操作食品という新しい遺伝子操作を用いた作物や食品の開発が進んでいる。その背景には、これまでの遺伝子組み換え作物・食品の危険性への世界的な批判の高まりがある。企業や政府、研究者が開発の理由にあげるのは、生物を改造する効率の良さや応用範囲の広さだが、それは同時に従来の遺伝子組み換え技術をはるかに凌ぐ、生命や環境に対する図りしれない脅威を内蔵していることである。
本書は、遺伝子組み換え食品反対運動の第一人者が、この新しいバイオテクノロジーであるゲノム操作技術とその作物や食品の問題点をやさしく解説する。
第1章 ゲノム操作時代へ 9
二十年たった遺伝子組み換え食品・10、ゲノム編集技術が登場・12、遺伝子ドライブ技術への批判強まる・15、人間の受精卵操作とブタからの臓器移植を容認・16、コントロールを失った遺伝子研究・18
第2章 ゲノム編集とは何か? 21
ゲノム編集とは?・22、ノックアウトの次はノックイン・24、ゲノム編集の三世代・25、CRISPR/Cas9(クリスパー・キャスナイン)とは?・27、ゲノム編集技術は日本政府の新技術の柱に?・29、人間にまで応用が広がっている・31
第3章 人の受精卵でゲノム操作、異種移植も 35
人の受精卵にゲノム編集操作・36、まず中国から始まった・39、タブーに踏み込む・40、ブタの臓器を人間に移植へ・42
第4章 ゲノム編集された作物と家畜 47
加速する作物開発・48、遺伝子組み換え・ゲノム編集稲が登場・49、エピゲノミック改変ジャガイモ野外試験へ・50、進む動物の改造・51
第5章 RNA操作始まる 55
AIが農薬を救う?・56、RNAiを応用した殺虫性トウモロコシ・57、シンプロット社のジャガイモが承認される・61、ノックアウト技術・62、 問題点が多く指摘されている・63、新たなジャガイモも・65
第6章 合成生物学の危うさ 67
合成生物学とは何か?・68、人工的な生命体づくり・69、どのようにして人工合成細菌は誕生したのか?・71、人間のDNAを合成?・73
第7章 種の絶滅をもたらす遺伝子ドライブ 77
世代を超えて受け継がせる・78、対立遺伝子を変える・79、科学者による重大な懸念・81
第8章 遺伝子組み換え作物・食品の二十年 85
遺伝子組み換え作物の栽培始まる・86、お粗末な表示制度が作られる・88、環境へ
の悪影響を避けるカルタヘナ法はできたが・90、食の安全を揺るがす事件が続く・92、遺伝子組み換え食品の反対運動拡大・95、クローン家畜の登場・99、市民運動の国際化・101、TPPと遺伝子組み換え食品・103
第9章 遺伝子組み換え稲はいま 107
新たな稲の開発が進んでいる・108、スギ花粉症治療稲・109、複合病害抵抗性稲・110、開花期制御稲・112、スギ花粉症ペプチド含有稲・113、カルビンサイクル強化稲・116、外国で栽培されている遺伝子組み換え稲は?・118、イランでは商業栽培されたことも・121、インドでは混入事件も起きる・121、中国では違法栽培が十年以上続く・123、米国では未承認稲が流通・124、ゴールデンライス作付けに動く・125、新世代ゴールデンライス開発される・128、中国で行われた人体実験・130、ゴールデンライスはトロイの木馬・131、遺伝子組み換え小麦をめぐる動き・132
第10章 遺伝子組み換え鮭が市場に登場 137
遺伝子組み換え鮭、すでに四・五トンが出荷される・138、まず米国で遺伝子組み換え鮭承認・139、最初から反対意見が続出・141、遺伝子組み換え鮭とは?・142、この鮭の問題点???生態系に大きな影響が起きる・143、この鮭の問題点???食の安全を脅かす・146、輸出先のパナマでも反対意見噴出・147、アクア社、事実上モンサント社の傘下に・148、日本にも承認圧力強まる?・149、米国内での表示をめぐる攻防戦・150、どうなる? 日本の食卓・151
第11章 多国籍企業の合併と特許戦争が奪う市民の権利 155
バイエル社がモンサント社を買収・156、中国企業もシンジェンタ社を買収・157、特許戦争も激化・159、グリホサートをめぐる業界の圧力・160、グリホサート禁止を求める市民の運動広がる・162、米国で拡大する母親の運動・164、メガ合併への批判強まる・166
第12章 種子法廃止と多国籍企業による種子支配・食料支配 169
種子支配の始まり・170、緑の革命がもたらしたもの・171、企業の権利強化の時代へ・173、一九八〇年代の種子法改正と遺伝子組み換え作物開発・176、種子法廃止の意味するところ・179、主要農作物種子法廃止が奪うもの・181
第13章 経済戦略とビッグデータがもたらす生命操作の未来 183
アベノミクスが狙い撃ちした健康と医療・184、成長戦略の柱のひとつ、再生医療・
185、ビッグデータ利活用のために個人情報保護法改正へ・187、知的所有権の強化・189、デザイナー・ベイビーも特許に・190、ゲノムコホート研究・192
エピローグ??ゲノム操作食品に規制を?・195
RNA操作の時代に・195、日本政府の対応・196
遺伝子組み換え・ゲノム操作作物・食品関連年表・200
あとがき・206
天笠 啓祐[アマガサ ケイスケ]
著・文・その他
内容説明
食糧危機を克服するという名目のもと、いま、ゲノム操作食品という新しい遺伝子操作を用いた作物や食品の開発が進んでいる。その背景には、これまでの遺伝子組み換え作物・食品の危険性への世界的な批判の高まりがある。企業や政府、研究者が開発の理由にあげるのは、生物を改造する効率の良さや広用範囲の広さだが、それは同時に従来の遺伝子組み換え技術をはるかに凌ぐ、生命や環境に対する図りしれない脅威を内蔵していることである。遺伝子組み換え食品反対運動の第一人者が、この新しいバイオテクノロジーであるゲノム操作技術とその作物や食品の問題点をやさしく解説。なにがどう問題なのか?不安と疑問に答える!
目次
ゲノム操作時代へ
ゲノム編集とは何か?
人の受精卵でゲノム操作、異種移植も
ゲノム編集された作物と家畜
RNA操作始まる
合成生物学の危うさ
種の絶滅をもたらす遺伝子ドライブ
遺伝子組み換え作物・食品の二十年
遺伝子組み換え稲はいま
遺伝子組み換え鮭が市場に登場〔ほか〕
著者等紹介
天笠啓祐[アマガサケイスケ]
1947年東京生まれ。早大理工学部卒。ジャーナリスト、日本消費者連盟共同代表、遺伝子組み換え食品いらない!キャンペーン代表、市民バイオテクノロジー情報室代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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